感情の強さと体脂肪
筋力や持久力と同じように、特定の感情の強さは個人によって異なります。
他の人たちが怖がってできないことをアッサリとやってのける人は、他の人たちと比べて恐怖という感情の強度が弱いのです。
反対に他の人がためらいもせず簡単にやってしまえることを、怖くてできない人は他の人たちより恐怖という感情が強いのです。
こうした感情の強さの違いは生まれ持っての気質の差もありますが、後天的な要素も意外と大きいのです。
恐怖心という感情であれば子供の頃に何かの事情で、「私は守られている」「私は安全だ」などの恐怖心を弱める感覚(そこから生まれる感情)を使う機会が少なかったり、絶えず恐怖を感じる環境で育ったりすることで恐怖心が弱まらなかったり(幼い子供は身の安全を守るために大人より恐怖心が強い)、恐怖心が強化されるからです(使った感情や感覚は強化される)。
ですから何事にも臆病で積極的になれないという人が、いわゆる「気持ちの強さ」だけで恐怖心に打ち勝つことはとても困難なのです。
例えば身長が160cmの人が体重100kgまで太ってしまった場合、体脂肪(恐怖心)を減らそうと、いきなり運動を始める(恐怖に立ち向かう)と膝を痛めるなどのケガをしてしまうのと同じです。
もし恐怖心が強すぎる人が臆病さを克服して積極的になるためのチャレンジをしたいなら、まずは恐怖心をある程度まで弱めることから始める必要があります。
体脂肪が多くなりすぎた人が減量のために運動したいなら食事制限をして体脂肪をある程度落とす必要があるのと同ように・・・。
しかし恐怖心を弱めるために恐怖心を感じる機会を少なくしろといっても、それはとても難しいことです。
この場合、恐怖心と拮抗する感情、例えば安心や平穏、心地よさなどを積極的に感じる取り組みを行うことになります。
こうしたポジティブな感情を感じる機会が増加すると、それらの感情は強化されていくため、これと拮抗した感情、つまり恐怖を感じる機会が減少し弱化していきます。そしてある程度、恐怖が弱化したところで勇気を出して恐怖を克服する取り組みを行うのです。
恐怖が強いまま取り組みを始めてしまうと、恐怖に飲み込まれて失敗してしまうため、さらに恐怖心が大きくなってしまうからです。
恐怖という感情が強すぎれば、それを乗り越えられないのは当然なのです。
恐怖以外のネガティブな感情も同じことです。ネガティブな感情という脂肪を減少させてから乗り越えることを考えるようにしてください。
人を本当の意味で変化させていくのは成功体験なのですから・・。