苦しみを生む自動思考

自動思考は認知行動療法の用語で、何かの折につけ自動的に頭に浮かんでくる考えのことです。この考え方のパターンが人の言動の基本になっていて、それが不利益をもたらす場合は見直す必要があります。強すぎると不利益をもたらしてしまう典型的な自動思考のパターンを紹介していきたいと思います。

拡大解釈と過小評価

自分の失敗を過大に考え長所を過小評価する。逆に他人の成功を過大評価し他人の欠点は見逃すこと

拡大解釈の例
  • 一生懸命取り組んでいるのにミスを犯してしまった⇒私はなんてダメな人間なんだ。
  • 休まないで出勤することを決意。でも体調不良で欠勤⇒私は社会人としてやって行けない。
  • 理解し合えているはずの友人との意見の相違⇒人とわかりあうなんて無理だわ。
過小評価の例
  • 自分の苦しみなんて人からみればたいしたことはない。
  • 世の中には私より苦しんでいるひとがたくさんいる。
  • 今回は成功したけれど、たまたまうまくいっただけ。

過大評価と過小評価

二重の基準

拡大解釈や過小評価の傾向が強い人は「二重の基準」と呼ばれるルールを持っていることが多いようです。

上手くいったr失敗したり・・生きていれば色々な出来事があるものです。自分に対してのルール(基準)と他者に対してのルール(基準)が異なっている人は割と多いものです。しかし二重の基準を道路交通法に当てはめてみると、道路を車で走る時に他の人は制限速度60キロで走っても警察の取り締まりを受けないけれど、自分だけはいつも30キロ走っているのに取り締まりを受けて罰金を支払い続けているようなものです。

個人によって法律の適用基準がが異なっていたらどうなると思いますか?社会は混乱し、とても暮らしにくくなってしまうはずです。様々なルール(基準)は誰にでも公平であるほうが暮らしやすいのです。もしあなたが「生きにくさ」を感じているなら、生きる上での様々なルール(基準)が自分にも他人にも公平になるように見直しが必要です。

二重の基準の例
  • 人が失敗するのはいいけれど、私が失敗するのはダメ
  • あの人が生意気なことを言うのは良いけれど、私は思ったことを口にしてはダメ

こうした傾向が強い人は・・

生きづらさを感じた時当たり前のように考えているルール(基準)が自分と他者に対して公平なのかを点検してみましょう。また考えの根拠に論理性を欠いている場合も多いので、円グラフ法やルール(基準の)根拠について検討してみましょう。

検討してみましょう
  • そう考える原因にどんなものがあったのか?
  • そう考える根拠はなんなのか?
  • そう考える根拠に反する事実や考えはないのか?
  • その根拠は合理的で妥当なものか?