弁証法的行動療法とは

弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy:DBT)は、マーシャ・リネハンによってに開発された境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:BPD)の代表的診断指標になっている自殺行動(リストカットetc)などの意図的、自己破壊的な問題行動に対て有効性の実証された認知行動療法的技法です。
注目・注意(小)DBTは自殺類似行動だけでなく、抑うつ、不安、怒り、解離など社会的適応問題に対しても効果が高い技法です。
自殺行動の再発率の減少、対人関係の改善など長期的効果があることが報告されています。

また、近年ではBPDだけでなく摂食障害、心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)などにも用いられることが増えています。

DBTの手続き

  1. 個人外来
  2. 集団によるスキルトレーニング
  3. 電話相談
  4. チームコンサルテーション

の4つの手続きで構成されています。

個人外来

相談者は事前にDBTへの参加態度や効果などの全容について説明を受けてから面談に対しての契約を結び、その後に正式な手続きを開始します。
標準的なDBTでは、相談者は週1回の個人外来による面談が義務付けられます。

もし、週1回の個人外来による面談に参加しない場合は集団によるスキルトレーニングへは参加できません。
基本的には週1回としていますが、相談者が危機的状況にある場合は週2回とすることもあります。

個人外来の面談時間は1時間~2時間程度で相談者の状態や面接の内容によって調整します。
相談者は1週間の振り返りのためにダイアリーカードを使って問題行動(リストカットや自殺類似行為など)の頻度や取り組み中のスキルの種類と回数などを報告してカウンセラーと話し合います。

面談・打ち合わせ 2

個人外来による面談では、相談者の問題行動や思考を調節して、集団によるスキルトレーニングで学習したスキルを復習して身につけていけるようにサポートしていきます。
そこでは、「行動連鎖分析カード」を使って問題行動の動機と行動の連鎖について、オペラント条件付けの原理に基づいて随伴性強化モデルに従って行動を分析していきます。

取り組みでは命にかかわるような重要度の高い問題行動から手をつけていきますが、行動化が少なくて過去にトラウマ体験を抱えている相談者(児童期性的虐待など)の場合はトラウマ経験から扱います。
エクスポージャー(暴露法)などを実施します。

そして最終的には相談者が自己肯定感を増強し、自分を信頼することで自分の感情や行動のを受け入れられるようにサポートしていきます。
どの問題から扱うかは相談者の状況によって異なるので、カウンセラーと相談者が十分に話し合って優先順位を決めることが大切です。