認知行動的催眠療法
認知行動療法で効果を得るためには相談者が積極的に取り組みを行うことが必要です。
催眠療法と組み合わせることでその精神的不安を緩和することができます。(たとえば辛い場面に直面しなければならない場合など)
認知行動療法で認知のパターンを変えていく過程では、相談者が思い出したくないと感じる場面を思い出す必要があるため、その時相談者が苦痛を感じる場合も少なくありません。
こういった場合、催眠を併用することで相談者の苦痛を緩和することができます。
取り組みの例
- カウンセラーが問題に直結する考え方(認知)と、それに対応する問題を緩和、あるいは解消することにつながる考え(認知)を、催眠中の相談者に対して聞かせます。
- 1の取り組みを何度か繰り返した後、カウンセラーが問題に直結する認知を読み上げて、相談者がそれに対応する問題を緩和、あるいは解消することにつながる認知言葉にする練習をします。
最初はカウンセラーが口添えしてサポートします - 2を何度か繰り返したら、今度は相談者だけで問題に直結する認知を問題を緩和、あるいは解消することにつながる認知に置き換えて大声で話してもらいます。
- 3を何度か繰り返したら、問題に直結する認知が浮かんだ出来事を相談者にイメージしてもらって、イメージの中で(声を出さずに)問題を緩和、あるいは解消することにつながる認知に置き換えるられるか、イメージリハーサルしてもらいます。
- 相談者を催眠状態から覚醒させます。
- 後のカウンセリングで現実の場面で催眠の間に置き換えた(認知)に置き換えることができたかを確認します。
ただし、催眠は認知行動療法の観点からは、適切な介入とはみなされいません。
催眠の中では相談者が認知を自分で検討することも、学んだスキルを使って自分の力で認知に望ましいものに修正していくわけでもないからです。
また催眠を用いることで、認知の変容を簡単に行えてしまうという印象を相談者が持ってしまう可能性があるので、面接場面以外でのホームワークへの取組みを行う意欲が低下してしまう可能性があるからです。
合理的思考を基礎に置いて思考を見直し、定着させていくスキルを身につけていく認知行動療法に対して、神秘的な印象が強い催眠を用いることで、思考の見直し、定着に対する神秘的な印象を強めてしまい、日常的に用いることができるスキルとして認知行動療法のスキルを習得する意欲を弱めてしまう可能性があるというデメリットもあります。
認知行動療法と催眠を併用する場合は相談者の感情への反応が大きすぎてどうしても取組みが行えないような場面にのみ限定して行うことが望ましいと考えられます。