スキーマとは
どんなことで落ち込んだり、不安になったり、腹をたてたりするのかは人それぞれ異なっています。スキーマと呼ばれるものが、これらの違いを生み出しています。スキーマは人が物事を捉える基礎となる基準です。
- 抑うつ
喪失、欠乏、失敗に関わるスキーマ - 不安
恐怖や脅威に関わるスキーマ - 怒り
侮辱や屈辱やルール違反などに関わるスキーマ
このように感情とスキーマの間には強い関係性が存在します。人が落ち込んだり、不安になったり、腹を立てたりする背景には、それを作り出す基礎基準があるということです。この基礎基準の違いによって、出来事のとらえ方や感じ方がの差を生まれるのです。
人には1人1人異なった特定の思考パターンの癖があります。その思考パターンの癖を通じて物事を解釈し、その解釈に見合った経験しています。
「成功」を重要視する人もいれば、「愛」を重要視する人もいます。「誰にも相手にされないことへの恐怖」にばかり意識が向く人もいます。
例えば、ある女性が「私はダメな人間だ」というスキーマを持っていたとします。その女性が大きな失敗をすると「私はダメな人間だ」というスキーマが活性化します。そうなると「目標を達成できないなんて、私って、なんてダメな人間なの!このままじゃみんなにバカにされて、誰も私を相手にしなくなってしまうわ」といった考えが次々に浮んでしまうようになります。
そういう状態に陥ると、ささいな失敗さえも「私はダメな人間だ」というスキーマを活性化させ、さらに不安になって落ち込んでしまうのです。
スキーマが「私は愛されない」というものであれば、何かの出来事で「拒絶された」と感じたら「私は愛されない」というスキーマが活性化して、「拒絶」「孤独」「不必要」といったテーマに過敏になり、そのテーマに沿った情報ばかりが集まるようになってしまうでしょう。
人間関係がうまくいっている時は問題にならなくても、「私は愛されない」というスキーマを持っている限り何かの出来事を通してそのスキーマが活性化して、「一人ぼっちになったらどうしよう」「拒絶されたらどうしよう」とビクビクし続けることになってしまうのです。「私は愛されない」というスキーマを持っている限り1人でいることに耐えられないからです。
周りで起こる出来事や経験によって振り回されないようになるためには、このスキーマについての「見直し」の作業が必要です。スキーマを再点検して見直すことで「自分が見ている世界」が全く別のものに見えるようになるでしょう。