弁証法的行動療法とは
弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy:DBT)は、マーシャ・リネハンによってに開発された境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:BPD)の代表的診断指標になっている自殺行動(リストカットetc)などの意図的、自己破壊的な問題行動に対て有効性の実証された認知行動療法的技法です。
DBTは自殺類似行動だけでなく、抑うつ、不安、怒り、解離など社会的適応問題に対しても効果が高い技法です。
自殺行動の再発率の減少、対人関係の改善など長期的効果があることが報告されています。
また、近年ではBPDだけでなく摂食障害、心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)などにも用いられることが増えています。
DBTの手続き
- 個人外来
- 集団によるスキルトレーニング
- 電話相談
- チームコンサルテーション
の4つの手続きで構成されています。
集団によるスキルトレーニング
集団によるスキルトレーニングでは、良好な対人関係や自己調節などの能力を高めるために
- マインドフルネススキル
- 対人関係スキル
- 感情調節スキル
- ストレス耐性向上スキル
の4つのスキルをトレーニングします。
対人関係スキル
対人関係スキルでは、人と関わる時に心の葛藤が起こる場面で、より適切な対応ができるように練習していきます。
対人関係スキルで重要なことは、相談者が自尊心を保てるような対応を目指すことです。
DBTの対人関係スキルトレーニングでは、覚えやすいように単語の頭文字を利用したキーワードを用います。
「DEAR-MAN」
- Describe:状況を説明する
- Express:自分の感情や意見を表現する
- Assert:相手の立場を理解しながら自分の意見を主張する
- Reinforce:相手に対して自分の主張を強化する
- Mindful:自分の目的に集中する
- Appear-Confidence:有能であるように見せる
- Negotiate:代替解決策を提示する
「GIVE」
- Gentle:攻撃、強迫をせずに穏やかに接する
- Interested:他人の言うことに耳を傾ける
- Validate:他人の意見を受け止める
- Easy manner:かまえない)
「FAST」
- Fair:自分と他人に公平でいる
- Apologies:へりくだらない
- Stick To Value:自分の価値観を貫く
- Truthful:正直になる
という3つのキーワードを意識しながら、積極的にロールプレイイングを行って、より実践的にトレーニングをしていきます。