自分の心の変化を観察しよう

心の状態が発揮できるパフォーマンスレベルに強い影響を与えることについては、すでにご説明しました。

「自分の心の状態の変化に気づくことができますか?」と尋ねると、ほとんどの人が「そんなの当たり前でしょ。自分の気持ちなんだから!!」と答えます。確かに自分の心なのですから、その状態を知ることは難しくないかもしれません。

しかし、その繊細さ、つまり「自分の心の状態の変化に気づくスキルのレベル」には、大きな個人差があるようです。大きな変化があってやっと気付ける人もいれば、ちょっとした変化ですぐに心の状態の変化にきづくことができる人もいるからです。ですから自分の心の状態の変化に繊細に気づくことができることは、自分のフルネス度を維持することにとても重要です。心の状態とフルネス度には強い相関関係があるからです。

毎日の生活に忙しく追い立てられていると、自分の体や心の状態に意識を向ける余裕がなくなってしまいます。少しずつ変化し続けている心や体の変化に気づけなくなってしまうからです。

「朝からずっと仕事デスクワークに没頭して、仕事終わりに気づいたら背中と肩がパンパンに張っていた」といった経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?一日中頑張って、背中と肩の状態が悪化するまで気づけなければ、家に帰っても、また毎日の繰り返しで疲労はどんどん蓄積して行ってしまいます。もし1時間に1回背中や肩の張りに意識を向けて、肩を回したり、温めてりしてあげていれば、そんなことにはならないでしょう。

その時、その時の心身の状態の変化に気をくばるという意識を持っていないと、目の前の出来事に意識を奪われて、その変化に気づけなくなってしまうのです。

心の状態の変化を観察しよう

生き物には「廃用」という働きがあるので、使わない筋肉や感覚はドンドン退化していきます。毎日の生活に追われて心身の変化に目を向けられない状態が続くと、体に疲れがたまってることや、感情が時間を追って繊細に変化していることを感じる能力が衰え、その変化に気づくことができなくなってしまいます。

実は「自分のことは自分が一番よくわかっている」と思っていても、心身の状態を観察する能力が低下し深刻なアンフルネスに飲み込まれるまで気づけない人がとても多いのです。心身の状態の変化に意識を向けて意識的に、そして繊細に感じ取ろうとすることで、心身の状態の変化を感じ取る能力が向上し、アンフルネスに飲み込まれてしまう前に心身をケアして(アクティベーションスキル)自分をフルネスに導き、保つことができるようになっていきます。