位置関係とコミュニケーション
相手と話をする時の位置関係をポジショニングといいます。人にとって得意な方向と苦手な方向があるので、相手に対する心の状態がポジショニングによって変化します。話しをしていて「なんか会話が弾まないなぁ!!」と感じる時は、相手との位置関係を変えてみましょう。
ポジショニングの実験
こんな実験結果があります。ある店舗で、
- お客様が入ってきたとき、荷物を持った手の方から話しかける
- お客様が入ってきたとき、荷物を持っていない手の方から話しかける
同じ店舗で同じ店員が接客したにもかかわらず、同じ時間帯、同じ時間数、同じ曜日で、1に対して2の売り上げが2倍以上になったのです。
人間には右利き、左利きがあるように左右どちらかに得意な側と苦手な側があって、多くの場合荷物を苦手な側で持って体を守ろうとする人が多いためと考えられます。左右どちらか集中しやすい方向があります。
得意な側・苦手な側と言われてもピンとこないかもしれませんが苦手な側への集中力は得意な側と比べると低いので、苦手な側の足で椅子を蹴飛ばしたり苦手な側の脚でつまづいてころんだり、苦手な側の方をドアや壁にぶつけたりしやすく苦手な側に怪我をしやすい傾向があります。
人は苦手な側に立たれると集中力が保てずに不安になったり違和感を感じてしまうので、相手の苦手な側に立つと、その不安や違和感から話がはずまなくなってしまいます。
ただし荷物を持っている側が間違いなく苦手な側かというと絶対ではありませんので注意しましょう。会話が弾まない時は「ちょっとトイレへ行ってくる」とでも言葉をかけて、その場を立ち去って帰ってきたときに相手の反対側に移動してみると急に話がはずみ始めるかもしれません。
これは2人以上の場合もお互いの位置関係は有効ですので、パーティーなどで話しがはずまないときは話しがはずんでいた人たちの位置関係を観察して、「ちょっと飲み物をとってきます」などと声をかけて、その場を立ち去って、戻ってきたときに話しがはずんでいた人たちの位置関係の真ん中にポジションを変えてみるとよいでしょう。
この他、自分と相手との距離感もとても大切になってきます。近づき過ぎたり、離れすぎたりしても話がしにくくなってしまいます。(人間関係の深さによって適切な距離感は変化する(パーソナルスペースを参考にしてください)ので、距離感を変更してみるのも有効でしょう。