過剰な感情に対処するために

エクスポージャー(暴露法)というのは、望まない感情の過剰反応(過恐怖、不安、緊張など)が起こることが原因で、日常生活に問題が生じてしまっている人を、その感情を引き起こす刺激に一定時間連続してさらすことで、刺激への過剰反応を取り除く方法のことをいいます。

注目・注意(小)刺激の種類や程度、時間、何を組み合わせるかによって色々な名前が付けられています。儀式(反応)妨害、脱感作、フラッディングなどがあります。

エクスポージャーを「避けている場面に直面することで、感情をを弱めていく方法」だと解釈している人も多いのですが、そうではなく、感情を高めたのち、その感情に適切に対応できた経験を繰り返し積むことで、その感情に圧倒されないようになっていくと考える方が適切です。

系統的脱感作法のように拮抗(リラクセーションなど)反応を用いる場合も、エクスポージャー→リラクセーション→エクスポージャー→リラクセーションといった形で交互に行います。

エクスポージャーをする時は、目標を設定し、それを達成していきます。
刺激に対する反応が過剰になった場合に取れる対策を設定し、それを習得することで対策のレパートリーを増やしていくのです。

対策のレパートリーが増えることで、それまで過剰な感情反応になすすべなく圧倒されていた人が、自分の力で過剰な感情に対処できるようになっていくのです。
最終的には日常生活でこれまで過剰な感情反応をもたらしていた刺激を探し、それに積極的に接近することができるようになっていきます。
そうなれば、日常生活の中で突発的に刺激に出会ったとしても問題は生じなくなります。
寒い・冷え性不安や恐怖、緊張という感情は防衛反応ですから、生きていくために必要な感情です。
ですから、人は生まれながらにして様々な刺激に対して、無条件に不安や恐怖、緊張という感情は防衛反応を起こします。

こうした防衛反応が問題になるのは、

  1. 防衛反応を起こす必要がない刺激に対して過剰に反応してしまう場合
  2. 防衛反応が過剰であるために必要な対処ができなくなってしまう場合
  3. 不適切な回避行動がある場合
    です。

ですから、エクスポージャーは、2つの手続きが必要になってきます。

  1. 過剰な(無意味な)防衛反応に対処できるようになること
  2. 回避行動をとらなくなること
    の2つです。

1については「対策のレパートリーを増やすこと」「防衛反応を起こした後その感情に拮抗する反応(リラクセーションなど)を起こすこと」で対処していきます。
また、2に対しては刺激と回避行動の条件付けを消去することで対処していきます。

回避行動は繰り返すことで刺激との条件付けが強化されていきます。
ですから、条件刺激だけに長時間向き合うことで、刺激と回避行動の条件付けを消去していきます。

この際、それまでの回避行動に変わる新しい有効な行動を定着させるトレーニングをすることで消去を早められます。

刺激についての階層表(レベル分け)を行うことでレベルの低い(弱い)刺激から徐々にイメージを使ってエクスポージャーを行っていくことでAを達成し、実生活でのBを達成するための準備を行います。
Bを行う場合は、実施前にカウンセラーとともに、綿密な計画と準備を行った後に実施して、その結果について改善を繰り返していきます。