アセスメント

相談者の問題を効果的に緩和し、解決に導くためのサポートをするためには、相談者がどんな問題を抱えているかを正確に理解して、相談者とその理解を共有していることが必要です。
症状や問題の一部にとらわれてしまうと、向き合わなければならない重大な問題が他にあることを見逃してしまうことになるかもしれないからです。

ポイント問題を正確に理解し、相談者とそれを共有するために、問題の維持・増悪している悪循環を書き出し整理する手続きをアセスメントと呼んでいます。
このアセスメントが適切に行われていることがカウンセリングの効果を大きく左右するため、初期の段階からアセスメントを慎重かつ丁寧に行い、カウンセリングの度に確認しながら、より正確で具体的にしていくことが大切です。

アセスメント情報の整理方法

認知行動療法のアセスメントでは、

  1. 多面的アセスメント
    問題や悩み、症状を多面的に評価分析するアセスメント
  2. 背景要因アセスメント
    問題や悩み、症状の維持・悪化に影響を与えている可能性のある様々な背景に存在する要因明確にするアセスメント
  3. 機能的アセスメント
    問題を維持、増悪する要素(環境、感情、認知、行動、身体)の関連性を明確にするアセスメント

という3つの観点からアセスメントの情報を整理して、問題、悩み、症状への理解を深めていきます。

考えてみよう!

ひとつひとつ丁寧に

背景要因のアセスメントとは?

抱えている問題が維持・悪化している場合、様々な背景要因がその問題と関わっている場合が多いものです。
ですから、アセスメントの段階では問題の維持・悪化に影響している背景要因を幅広く調べる必要があります。

  • 発達要因
    発達障害など心身の症状に起因する問題行動やコミュニケーションに関わる問題
    養育環境(虐待、ネグレクト、いじめなど)の影響による情緒的不安定
  • 身体的要因
    身体的疾患から生まれる不安、抑うつなどの情緒的問題
    薬物の副作用による気分の変調
  • 生活習慣や行動パターンに関する要因
    生活や食習慣などの乱れや偏りによる生活の問題
    過剰な行動パターンによる心身への影響
    薬物使用やアルコール摂取状況など

    円グラフ

    一つずつ背景要因を分析していきます

  • 性格的要因
    過敏、神経質、完璧主義、2分割思考といったストレスの影響を受けやすい性格傾向
  • 家族関係の要因
    問題を維持・悪化させている家族関係
    問題の改善・解決を妨害している家族関係
  • 周囲の人間関係の要因
    ストレス源としての人間関係
    サポート資源となる人間関係
  • 環境的要因
    問題の先行要因としての環境
    問題の強化因子としての環境

問題の維持・悪化に影響している背景要因を、上記の各項目に照らし合わせながら一つずつ丁寧に把握していきましょう。