脚と足のノンバーバル
体の中で最も正直な部分はどこでしょうか?答は「脚と足」です。
ですから、股間を含めた下半身のメッセージについての知識を深めていくことで、相手の気持ちや考えを推し量ることが上手になっていきます。
ではなぜ脚や足が体の中で一番正直な部分なのでしょうか?
まずはそれを理解するところから始めましょう。
人間の進化と下半身
人は進化の過程で二本脚で歩行するようになりました。
そして脚と足は移動するために重要な役割を果たしてきました。
逃げる時も、戦う時も、じっとして息を潜めみつからないようにジッとしている時も、脚と足は生き残るために大きな役割を果たしてきました。
人間が二足歩行を始めて以来、脚と足が人間を移動させ、生き残らせてきたのです。そのため、脚と足は脅威や外敵に瞬間的に反応して意識して考えなくても動き出せるように進化してきたのです。
大脳辺縁系(動物脳)に組み込まれた動きで大脳皮質(人間脳)で考えなくても移動して身を守り、場合によっては蹴飛ばしたりして相手を撃退するように反応するようになったのです。
こうして受け継がれてきた反応は、文化的な生活を送るようになった現在でも同様に起こります。
危険が近付いたり不快なことがあると、動物脳の働きで生き残るための反応をするのです。
最初に固まって、次に遠ざかろうとします。
そして最後は戦えるように身構えます。
この3つの反応、固まる、逃げる、戦うという反応には人間脳の介入が必要ありません。
つまり意思を介さない反応なのです。
また、人は同じ脅威に対して同じ反応することで、あるいは周囲の人たち反応と同じ反応をすることで、直接自分が危険を察知していなくても身を守ることができたのです。
文明を獲得した現在では、命の危機にさらされるような出来事はめったにあるものではありません。
しかし、こうした身を守る反応は現在でも動物脳の反応として受け継がれています。
脅威やストレスを感じる相手だけでなく、自分の感情にも脚と足は反応するのです。
ポジティブな感情にも、ネガティブな感情にも素直に反応します。
ですから、脚と足をよく観察することで、相手が考えたり感じていることを推し量ることができるのです。
喜ぶとき現代社会で飛んだり跳ねたりするのは狩りの収穫を祝う動きのなごりです。世界中の人たちが飛び跳ねたり、高々とジャンプすることで喜びを表現するのです。
本心を隠したい時「表情に出さないように」注意を払う人は多いでしょう。
しかし、脚や足のノンバーバルを意識している人はほとんどいないでしょう。
ですから、表情より先に脚や足のノンバーバルを見極め、最後に表情に注意を払う方が相手の考えや感情を正確に推し量ることができるのです。
正直さは足から頭の方へ上がるに従って薄れていくことを覚えておきましょう。
人は生まれてから顔の表情を作ることを教えられて育つからです。
目の前の料理が嫌いだと表情に出すと親に怒られます。
元気がない時でも「笑って」といわれて作り笑いを覚えます。
親も学校も、そして社会全体で周囲と調和するために、本心と違う表情をして本心を隠しウソをつくことを子どもたちに教えているのです。
しかし、自分や他人の脚や足に意識を向ける人はほとんどいません。
ポジティブな感情もネガティブな感情も脚と足通して表現されるのです。
人の気持ちを推し量る力を高め、より良好な人間関係を築きたいと思うのなら、まず最初に脚と足のノンバーバルを覚えましょう。