問題解決法は、ストレスを感じる状況に対処するための重要なスキルです。この記事では、問題解決法の手順とその効果について詳しく説明します。
問題解決のためのスキル
問題解決スキルを高めることで、ストレスを軽減・除去できます。個人差はあるものの、問題解決スキルが向上することで、効率的にストレスを管理できるようになります。このスキルの向上は、うつ病の再発防止や様々な恐怖症、慢性疾患のストレスマネジメントにも効果があります。
問題解決法の手順
問題解決法は5つのステップに分かれます。以下にその手順を示します。
第1ステップ:問題を肯定的に捉える
問題を肯定的に捉えることで、問題解決へのモチベーションが高まり、積極的に対処できるようになります。
まず、自分がどのように問題を捉えているかを理解します。
例えば、問題を破局の始まりと感じるのではなく、改善のチャンスと考えることができます。認知、行動、感情の変化を明確にし、ロールプレイや否定的な信念のリストアップなどの技法を用いて、肯定的な捉え方を身につけます。これにより、過剰な恐怖や不安が軽減され、問題と向き合う意欲が高まります。
問題と向き合うための捉え方の参考例
- 生きていれば何らかの問題は生じるものだ、問題があること自体を受け入れてみよう
- 原因を1つに決め付けず、様々な要因を見つけてみよう
- 問題を悩むのではなく、何らかの解決を試みる状況ととらえてみよう
- 大きな問題は小分けにしてみよう。小さな問題に分解して、突破口を見つけよう
- 「解決できるか」ではなく、「対処できそうな事」「できないこと」を見極めよう
- できることから手をつけよう。「実験」としてチャレンジしてみよう
- どんな事を自分に言うと良いだろうか?
第2ステップ:問題を明確にし、整理する
問題を複雑にし、大きくしている原因には、個人の思い込みや仮説が含まれます。
問題を明確にするために、事実、思考、感情、行動、身体状況を分けて書き出します。問題に関わる情報を「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」と順序立てて整理することで、問題の本質が見えてきます。これにより、問題解決に向けた具体的なゴールを設定しやすくなります。
第3ステップ:解決方法をブレインストーミングする
多くの解決策を考えるために、ブレインストーミングを行います。
このとき、量の原理(沢山の考えが出れば効果的な解決策が見つかる可能性が高まる)と判断延期の原則(アイデアの良し悪しは後で評価する)を理解しておくことが重要です。強い不安や恐怖を感じる場合は、リラクセーション(呼吸法など)を行ってから取り組むと良いでしょう。これにより、多くのアイデアを出しやすくなります。
第4ステップ:最良の解決方法を選択する(意思決定)
考え出した解決策を評価し、最良の方法を選びます。解決方法を評価するポイントは
- 効果の評価(問題解決にどれくらいつながるか)
- 可能性の評価(実行できる可能性はどれぐらいか)
- 価値の評価(利益とコストのバランス)
価値の評価では自分自身に向けられる利益やコストだけでなく、周囲(家族や職場の人々、友人など)にどのような影響があるかも考えることが重要です。
その方法を行うことで得られる利益やコストを短期的・長期的スパンで考える事も大切です。
このような評価することで、もっとも効果が高く、利益が大きくて、実行しやすく、コストの少ない解決策を選択します。
解決方法が決まったら、次にその方法の実行の仕方について具体的に考えます。
- いつ、どんなタイミングで実行すれば良いか?
- その方法を行うためにどんな準備をすれば良いのか?
第5ステップ:解決方法の実行と効果の検証
- 選択した解決方法を実行すること
- 実行してみてどのような変化があったかを明確にすること
- 解決方法の効果を評価すること
実際に得られた効果と第4ステップで予想された結果と比較します。
たとえ問題が解決できなかったとしても、取り組みを行えた自分を褒める(自己強化)ことを必ず行いましょう。
うまくいかなかった点があれば、「何が原因だったか?」を明確にします。
うまくいかなかった点ばかりに注目すると、取り組みへのモチベーションが低下して取り組みを行えなくなってしまいますので、
- うまくいった点に着目すること、
- 自分を褒めること
積極的に行って、モチベーションを保つようにしましょう。
問題解決法の応用と注意点
問題解決法は個人でも集団でも用いる事ができますし、問題解決法だけでの取り組みも他の方法と組み合わせての取り組みもできる技法です。さまざまな対象に有効で応用可能性が高く、適用範囲も広い技法です。
しかし、問題解決法には個人の問題に直面する手続きが含まれているので、問題に対して非常に敏感で、直面する事に非常に強い不安や生理的反応を示す人にとっては取り組むが難しく、効果が得られる前にやめてしまうケースも少なくありません。
問題解決法を実施前に、その特性、効果や利益、展望などについて十分に検討しておく事が大切です。
そして、取り組みをする時に、どんな問題や障害が起こりそうかを考え、対処法を準備しておく事が大切です。