思考と感情・身体の反応

以下の会話を見てください。母親と幼稚園児の会話です。
同じ「にんじん食べなさいよ」という問いかけに対して、A君、Bちゃん、Cちゃんは異なった考えが頭に浮かびました。

これを自動思考と呼ぶのですが、どんな自動思考(最終的な認知)が浮かぶかによって、感情・行動生理反応が変わります。

母:にんじん食べなさいよ A:ママは僕が元気でいて欲しいんだ。嬉しいなぁ。
B:私はにんじんを食べられないダメな子なんだ。ママに嫌われる。
C:ママだって納豆嫌いなのになんで私だけ…
A:笑う
B:泣く
C:怒る

状況⇒認知⇒感情・行動生理反応という(状況が直接感情・行動生理反応を決めるわけではない)順番で感情や体の反応が起こるわけです。
ですから、この自動思考を見直すことで、感情・行動生理反応を自分で変化させることができます。

自動思考の源になっているルール・思い込み、スキーマ(別途解説)が変わらないと、どんな考え方をしやすいかという自動思考の傾向は変わりませんが、「人間は使ったところが強くなる」という基本原則から、「このケースではこう考えた方が気分がいい」という自分なりの考え方を用意し、繰り返し思い出すことで、その考え方が自分の考え方として定着していきます。

非機能的思考記録表(DTR)

認知療法の分野では、非機能的思考記録表(DTR)を使い、「このケースではこう考えた方が気分がいい」という考え方を導き出す練習をしていきます。

  1. 日時・出来事・状況
  2. 気分(強さ%)
  3. 自動思考(確信度%)
  4. 別の考え
  5. 効(効果)
  6. 受(受け取りやすさ)
  7. 結果(気分の強さ%)(その他の変化)

を順番に記入していきます。
非機能的思考記録表

1:日時・出来事・状況

  • あなたを不快にさせたのは、どんな出来事、考え、想像、記憶ですか?
  • どんな不快な感覚が身体にありましたか?

2:気分(強さ%)

  • あなたはその時どんな感情(例:悲しみ、不安、怒りなど)を感じていましたか?
  • それはどれぐらいの強さでした?(今までの人生で一番強く感じた感情を100としてどれぐらいの強さでしたか?)

3:自動思考(確信度%)

  • どんな考えやイメージが頭に浮かびましたか?
  • あなたはその時、そのイメージをどれぐらい確信していましたか?(0-100%)

4:別の考え

  • どのような認知の癖が見られますか?(分類は別途解説)
  • 下記の質問リストを使って、今の自動思考より楽な思考を考えて書き出して見ましょう。
【別の見方を目つけるための質問リスト】
(ア)   自動思考を支持する根拠はなにか?自動思考に反する事実や根拠はあるだろうか?
(イ)   何か別の見方はあるだろうか?
 (ウ)   起こりうる最悪の結果とはどのようなものか?起こりえる最良の結果とはどのようなものか?起こりうる最も現実的な結果はどのようなことか?
(エ)   自分はそれを切り抜けられるだろうか?
 (オ)   この自動思考を信じることによって、どんな効果(メリット・デメリット)があるだろうか?
 (カ)   自動思考を修正するとどんな効果があるだろうか?
 (キ)   この自動思考に対し、どんなことを行えばよいだろうか?
 (ク)   もし友人が同じ状況に置かれていたら、私は友人になんていうだろうか?
 (ケ)   もし、他の人だったら、この状況でどうかんがえるだろうか?
 (コ)   以前、似たような経験をした時、どんな対処をしたか?
 (サ)  この状況にどんなことができるだろうか?
 (シ)   自分自身にどんなことを言ってあげたいか?

良い考えを出す必要はありません。
とにかく数を出しましょう。
思いついたことは現実的な考え方でなくても全て書き出しましょう
5:効(効果)

  • 考えた別の考えの効果を評価してみましょう。(完全に気分が回復:100%、半分くらい不快がなくなった50%など)

6:受(受け取りやすさ)

  • 受け取りやすさを評価してみましょう。(とてもしっくりくる:100%、ちょっと違和感がある:70%など)

7:結果(気分の強さ%)(その他の変化)

  • 5、6での評価に従い、今自分にとって一番効果的な自動思考を選び出します。

現実で練習する場合

選び出した考えをカードに書き入れ、出来事が起こった後にカードを見て、どう考えることにしたかを思い出してみます。

現実で練習できない場合や現実で練習する前の予行演習として、イメージを使って出来事を体験し自動思考を持ちます。
イメージでも、現実でも、繰り返し行い、その自動思考を使った分だけその自動思考が強化されていきます。
繰り返し行いましょう。

練習後に評価してみましょう。

  • 今自動思考(以前のもの、新しい自動思考)をどれぐらい確信していますか?
  • 感情や体の感覚はどのように変化しましたか?
  • その強度はどうなりましたか?
  • 総評、感想を書き出してみましょう。
  • これからは、どうしますか?

以上のように、感情や体の感覚に影響を与えている自動思考を見つけ、別の思考を繰り返し用いることで気分や体の感覚を自分でコントロールしていく経験を積み重ねて、もっと大好きで信頼できる自分になっていきましょう。