頼みごとを受け入れてもらうためのテクニック

頼みごとを受け入れてもらうための方法として「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」という方法を前回ご紹介しました。

今回は「ロー・ボール・テクニック」という方法をご紹介します。この方法も頼みごとを受け入れてもらいやすくするためのテクニックですが、多用しすぎるとトラブルを引き起こすこともありますので、ここ一番というときに使ってください。

ロー・ボール・テクニック

ロー・ボール・テクニック

ある提案をする時一番最初に目を引くような手出しやすい好条件を提示して、相手がその提案を一旦OKしてから提示した好条件を外して(加えて)いくという方法。

好条件を一つずつ外して(加えて)いくわけですから、相手は最初に提示された条件では、その提案を得ることができなくなってしまうのですが、一度受け入れてしまっているので、後に戻りできなくなって最終的には何の変哲もない条件でも提案を受け入れてしまいます。

一度要求を受け入れてしまっているので、条件が変わったことで撤回することに対して「恥ずかしい」「みっともない」「面倒くさい」という感情が生まれて断りづらくなってしまいますし、人は一度コミットメント(受け入れるという宣言)してしまうと、気持ちの上でも、言葉の上でも、その気になってしまってしまっているのです。ですから最初と比べて多少条件が変わっても行動を変えることができなくなって、最初からその条件だったら動かないはずの条件で受け入れてしまうのです。

ローボールテクニックでは提案内容は最初から変わらないのですが、条件が一つ、二つと変わっていきます。

気づき・ひらめき

例えば「アンケートに答えてください」と提案しアンケートに答えるという提案を受け入れてもらったところで、「アンケートに答えるために店舗までご同行ください」と条件を加えます。

もし、最初に「店舗まで御同行いただいてアンケートに答えてください」と提案していたら断られていた場合でも、「最初にアンケートに答えてください」と、簡単な提案(そのばで簡単に記入できる)をして、その程度ならばいいだろうと考えて承諾すると、店舗に移動してアンケート答えなくてはならないこと伝えられるのです。この時既に承諾してしまっているので断りづらくなっていて、そのまま店舗まで付いて行ってしまうのです。

低いボールを打たせてから・・つまり、ロー・ボール・テクニックでは、最初は相手にとって不利となる情報は与えず、相手にとって受け入れやすい条件のみを提示します。それが承諾されたら、本来の条件を伝えます。

このように書くと、とても卑怯な方法だと受け取る人もいるかもしれません。しかし、このテクニックは日常的に頻繁に用いられています。

「50%オフセール実施中」というポップを見て店舗に入ってきて、商品を選んでレジまで持っていくと「この商品はセール対象外なんです」といわれた経験はありませんか?その時「買うのをやめた」と言える人は実はあまり多くないのです。特に日本人はその傾向が強いようです。

ロー・ボール・テクニックを使うときには条件提示の際の態度がとても重要です。条件の提示の仕方が横柄だったりすると、「後から言うなんて卑怯だ」と相手が嫌悪感を感じたり怒ってしまうこともあるからです。

ですから当たり前のように条件提示するのではなく、「ついうっかり言い忘れてた」という感じて提示してみたり、申し訳なさそうに言ったり、予想できなかった事態になってしまったような偶発性などを相手が感じて、「しかたないな」と思ってもらうようにすることが大切です。

また頻繁に用いすぎると積み重ねの中で信用を失ってしまいますので、「ここ一番」という時だけに用いるようにしましょう。このテクニックは普段からの話し方や人柄なども成功率に影響します。「ここ一番」というときに提案を受け入れてもらうためには普段からの人間性も重要だということです。