継時接近法を使った暴露(段階的現実暴露)
現実の場面を使って問題を引き起こす「状況」に対する回避と過剰な恐怖や不安を軽減していく方法を段階的暴露訓練といいます。
この訓練に正の強化を用いる方法を「継時接近法」と呼んでいます。
恐怖の対象から一定以上の距離をおこうとする行動(回避)が習慣化することで問題引き起こしている場合に効果的です。
この方法は、幼児期・児童期の分離不安、登園拒否、不登校などへの対策としてよく用いられます。
イメージを用いた系統的脱感作を行う事が幼い子供には難しいからです。
また、(特に家族以外の集団と交流する事で生まれる)「心地よい体験」(快)を、まだ十分に経験していない幼児期・児童期の子供には、正の強化を用いることが有効に働きやすいのです。
準備
現実場面での段階的暴露は誰にでも行えます。
イメージの得意/不得意が結果に影響しないからです。
ただし、刺激が強いので、不安拮抗反応を上手に用いることが成功への鍵となります。
特別な訓練が必要となるリラクセーションなどでなくてもかまいません。
恐怖と向き合う場面に安心できる保護者、カウンセラーなどが同伴するだけでも不安拮抗効果があります。
また、子供でも実行できる不安拮抗法もありますので、対象者の適正を見極めながら用いると良いでしょう。
簡単な不安拮抗法
- 気そらし法
意識や注意を
☆恐怖や不安を呼び起こす刺激
☆不安や恐怖の感情を感じ取る感覚
から他へそらす事で感情の強さを弱めることです。例)指を鳴らす、別の事を考える、鼻歌を歌う、楽しいイメージをする、片足で立つ、ガムを噛む、縄跳びをするなど) - 心理的対抗法
☆保護者とスキンシップをする
☆抱っこされる
☆赤ちゃん言葉で対話を楽しむ など
をすることで不安を中和する方法です。 - 気分高揚作法
☆自分が強くなったイメージをする
☆たくましくなったイメージをする
☆ヒーローに変身するイメージやアクションをする
☆アクション映画スターになったつもりで取り組みを行う
など、気分を高め、不安や恐怖と向き合える状態にさせる方法です。 - 逆説思考作用
心の中で「怖くなれ、もっと怖くなれ」と言った具合に、自分が感じたい感情(落ち着く、リラックスする)と逆の感情(緊張する、不安になる)になろうとしてみる方法です。
落ち着こう、リラッックスしようとすればするほど緊張したり、不安になったりする場合に行うと効果的です。
一度コツをつかむと色々な場面で利用できます。
- その他の不安拮抗法
☆水やジュースを飲んで喉の渇きを癒す
☆お菓子などを食べて空腹感を満たす
☆軽いストレッチをしてみる
など心地よい感覚を得られる方法活用します。
ポイント
☆継時接近法を行う時も階層表を利用しましょう。
☆幼児・児童が対象の場合、本人がSUD(感情強度)の評価ができないことも多いので、SUDの評価単位を、すごく怖い、怖い、ちょっと怖いといった簡易な表現で行ってみましょう。
不安や恐怖の先行刺激に近づいたり、向き合ったりできたことに対して正の強化を与えましょう。
多くの場合は、トークンエコノミーが用いられます。