行動回避テスト
恐怖や不安を回避行動から具体的にとらえ直すことができます。
回避行動はほとんどの場合、無意識のうちに行っていて、習慣化・自動化しています。
つまり、元々何に対する恐れがあってその行動をとっているのかを考えることもなく回避行動を繰り返しているということです。
ですから、恐怖や不安を感じる場面、刺激と対峙する事で、その回避行動がどれほど強固であるかを調べる必要があるのです。
その際、様々なや場面刺激に対して、どこまで接近し、どれぐらい対峙できるかを調べてみる事を『行動回避テスト』と言います。
階層表(恐怖や不安をレベル分けした表)を慎重に作って、計画的に、できるだけ、実際の場面でテストしてみましょう。
- 持続できた時間
- 刺激からの距離
- 耐えられる刺激の数(密度)
- 一定時間内のアクセス回数
など客観的な指標で数値化して評価します。
回避を具体的な行動として認識している事で、恐怖や不安を感じる条件、状況、刺激などを明確にしやすくなります。
つまり、回避行動テストを行う事で、恐怖や不安についての情報を集めるだけでなく、対象者(自分)が恐怖や不安を客観的に見つめなおすことにもなるのです。
また、不安や恐怖の軽減を具体的な数値で確認できるようになるので、改善の取り組みへのモチベーションを維持することに役立ちます。
行動テストを行う上での注意点
テストによって対象者の不安や恐怖の条件付けが強化してしまわないように注意しましょう。
- 行動回避テストのインフォームドコンセントを行う
対象者に行動回避テストの意味や取り組み方について事前に理解してもらう事 - 以下の場合は実際の場面で行う事は避けましょう。
ASD(急性ストレス障害)、PTSD(外傷後ストレス障害)の場合(あるいはその疑いが強い場合)
その他、対象者の恐怖や不安が強く、取り組みへの意思が明確でない場合
強迫性障害における強迫行為は回避行動として捉える事ができます。
どの刺激に対してどんな接触があると強迫行為の我慢が難しくなるのかを具体的に確認する事が大切です。
強迫症状の強さと範囲を明確にすることが大切です。
「恐怖・不安の不一致」について
- どの対象に恐怖や不安を強く感じるかは大きな個人差があること
- 特定の対象について恐怖や不安の増減があっても、他の対象で同じような増減があるとは限らないこと
を『恐怖・不安の不一致』といいます。
また、
- 回避行動なくなっても不安や恐怖という感情や身体的緊張が続いている
回避行動隠れていた恐怖や不安が表面に出てきたということが考えられます。 - 回避行動の減少は見られないものの、不安や恐怖という感情や身体的緊張がそれほど深刻ではなくなっている
- 不安や恐怖についての自己評価が低くなっていても身体的緊張がとても高い
といったケースがが存在しますので、取り組みの評価や感情、行動の変化についての評価は慎重に行いましょう。
そのためには、どんな『刺激/状況』が、どんな『回避行動』と結びついて習慣化されているのかを具体的、かつ明確にしておくことが大切です。
対象者への細やかな質問や行動観察(自己観察)が必要です。
ただし、行動回避テストはコストや時間が必要な場合も多く負担も大きいので、行動回避テストが行えない場合は、主観的な評定ですましても良いでしょう。