「認知の分類」
ワーク9のストレッサーの外在化ができたら、自分自身に起こっている「ストレス反応」について客観的にとらえていきましょう。
認知行動療法では出来事を5つの要素(1.環境、2.認知、3.感情、4.身体、5.行動)から分析しますが、1.環境は外部のストレッサーとしてとらえて、その他の2.認知、3.感情、4.身体、5.行動の4つの要素が相互作用しながらストレス反応を作り出していると考えます。
まずは「認知」について考えていきましょう。
認知というのは「頭に浮かんだ言葉やイメージ」のことですが、もう少し詳しく解説すると認知は3階層になっています。
- 自動思考
その場で浮かぶ考えやイメージのこと - ルールや信念、思い込み
これまでの経験から作り上げ、守っているルールや信念、思い込みのこと 経験のより個人差があります。
普段は当たり前すぎてそれを守っていることさえ意識していません。 - スキーマ
自分や他者、社会(世界)に対する基本的な価値観のこと
スキーマはとても強力なもので、スキーマに反する出来事や事実は重要視しなくなるため気づいたり、意識することがなくなってしまいます。
ちょうど黒いサングラスをかけると世界が黒くなってしまうのと同じです。
そして、そのスキーマに従ったり、スキーマを他者に知られないように隠すために(自分を守るため)、様々なルールや信念を作り、思い込みのフィルターを通して事実を分析して自動思考を作り出します。
スキーマが変われば世界が変わって見えると言われるほど、スキーマは個人の認知に強力な影響を与えていますし、ルールや信念、思い込みを現在の自分の状況に適切な形に訂正できれば、とても生きやすくなるのですが、これらは意識の中のより深い部分、つまり潜在意識に存在するもので普段は気づくことさえできません。
まずは感情に影響を与える自動思考を特定していきましょう。
それらの傾向を知ることで心のより深い部分にあるする、
ルールや信念、思い込み、スキーマを特定して扱えるようになっていきます。
今の段階では、
- 瞬間的に意識の浅いところから生まれる自動思考
- 継続的で意識の深いところにあるルールや信念、思い込み、スキーマ
といったものがあるということを意識していただければ十分です。