コミュニケーション基本の基本
コミュニケーションは、その「スキル」や「能力」高さによって、その質(快適さ、心地よさ、相互理解)などが決まるものだと思っている人は少なくないようです。もちろんコミュニケーションの「スキル」や「能力」高さはコミュニケーションの質に大きな影響を与えます。しかし、その質を高めるために「スキル」や「能力」高さより、もっと基本的で大切なことがあります。
人は誰でも傷つくことが怖いということです。傷つくことが怖くない人はいません。側からみて強そうに見える人でも、快活で明るい人でも、会話の中で自分が傷つくのは怖いものです。
- どんなに人から悪口を言われても気にしない人
- いつも怒鳴り散らしたり他人を否定して人を傷つけてばかりの人
- いつも快活で明るくて傷ついている姿なんか想像できない人
- いつも話の中心で気持ちよく話をしている人
- 口が上手で他人をいつのまにか巻き込んでしまう人
どんな人でも、やはり「自分は傷つきたくない」と思っているものです。
怒る、怒鳴る、威圧する、話し続ける、無視する、相手を言いくるめようとするなど会話の方法は様々ですが、こうした会話の手法は、会話の中で自分が傷つかないように、成長する過程で身につけた「心の防衛策」です。
繰り返し行い続けたことで、本人さもそれが自分の心を守るための「防衛策」だということを忘れてしまっているかもしれませんが、幼いころに深く傷ついてしまった経験を元に改善を重ねながら身につけてきた「心の防衛策」なのです。
一番大切なこと
もしあなたが「私はあなたを傷つけないよ」「私はあなたの味方だよ」というメッセージを相手に伝えることができたら、その人たちは「いつもと違うコミュニケーションの手法」を見せてくれます。
- どんなに人から悪口を言われても気にしない人は、いつもは人に見せない心の傷を明かしてくれるでしょう。
- いつも怒鳴り散らしたり他人を否定して人を傷つけてばかりの人は、その人の優しい一面を見せてくれるでしょう。
- いつも快活で明るくて傷ついている姿なんか想像できない人は、自分の弱さや暗い面を見せてくれるでしょう。
- いつも話の中心で気持ちよく話をしている人は、気を使いすぎて疲れてしまうことや一人時の寂しさについて話してくれるでしょう。
- 口が上手で他人をいつのまにか巻き込んでしまう人は、自分の本当の気持ちを伝えられないもどかしさについて話してくれるでしょう。
相手の大切な人なる
どんな人にも人には見せない一面があるということです。そして、人はそうした一面を見せることができる人を心から大切に思うものです。
ですからコミュニケーションの基本は相手が安心して話せる状況、つまり安全で好意的で自分や自分の話に興味があるんだと感じてもらえる状況を作り出すことなのです。そうした状況を積極的に作り出してあげることで相手には防衛策を使う必要がなくなって話しやすい相手になることができるのです。
心地よい快適なコミュニケーションは「相手に対する思いやり」が基本にあるということです。
「相手に対する思いやり」をどう表現するか?、どう伝えるか?がコミュニケーションスキル訓練の根底にあることを覚えておいてください。