認知行動療法で果たすカウンセラーの役目
感情や言動についてのセルフコントロール能力を高めることで問題の軽減、解消を目指すのが認知行動療法です。
ですから、カウンセリングでの主体は相談者自身です。
カウンセリングの場で新しく覚えたこと、カウンセリングの場で考えた新しい取り組みを、実生活の中に積極的に取り入れ、実験と改善を自らが行う必要があります。カウンセラーは協力者(サポーター)でしかないのです。
ただし、カウンセラーが協力者としての果たす役割は重要です。
カウンセリングで十分な効果をあげるために、カウンセラーの果たす重要な役割について知っておきましょう。
協力的関係であること
認知行動療法で大切なことは、カウンセラーと相談者が互いに協力し合う問題解決のためのパートナーとなることです。
ですから、認知行動療法を行う場合、相談者がカウンセラーに対してパートナーとしての信頼感、安心感、期待感が十分に得られていることがとても大切です。
相談者が「理解されている」という安心を感じ、「このカウンセラーと一緒なら、問題を解決していける」と言う期待感を持てること大切です。
ですから、カウンセリングで
- カウンセラーが言うのだから・・
- こんなこと言ってもいいのかしら・・
- こんなことを言うと馬鹿にされるかも・・
などと考えて、頭に浮かんだ考えを心の奥にしまいこんでしまう必要はありません。
カウンセラーの仕事は相談者が悩みや問題を軽減、解決できるように共に考え、その方法を発見するサポートをすることなので、
- カウンセラーが相談者の考え方の正しさや間違いを判定することはありません。
- カウンセラーが相談者を説得することはありません。
- カウンセラーが相談者を批判したり、馬鹿にすることはありません。
ですから、
- どんな些細で大切でないと感じることでも
- こんなことを言っても良いのかとためらうようなことでも
- こんなことを言ったら批判されたり、馬鹿にされてしまうのではないかと恐れることでも
全て口にして大丈夫なのです。
むしろ、相談者の悩みや問題を軽減、解決をしていくためには、ぜひ言葉にしてほしいのです。
あらゆる疑問をできるだけ言葉としてカウンセラーに投げかけ、カウンセラーとの間に信頼関係をつくれるかどうかをひとつずつ確かめていくという態度が認知行動療法で大きな成果を上げるためには大切なことなのです。
カウンセラーと相談者が協力して、新しい取り組みを行って、新しい経験を積むことで、新しい考え方や行動パターンを獲得していく認知行動療法では、カウンセラーと相談者の協力関係がとても重要になりますので、「このカウンセラーとなら!!」と信頼感が持てるかどうかを良く考えてからカウンセリングに取り組むようにしましょう。
また、認知行動療法では、未知の経験を積むための実験や自宅で取り組むホームワークが必須課題となってきますから、「なぜそれをするのか?」「なぜそれに取り組むのか?」を良く理解することが大切です。
そのためには、心の仕組みについての正しい知識や各種技法についての知識、スキルを習得していくことが大切です。
「カウンセラーが言うから」ではなく、「これをすることで、こんなことが起きるかも・・」「これをすることで〇〇を得られるかも」と自ら実験に取り組み改善していく態度を作っていくための心理的知識を得ることが必要です。
問題をつくり維持する悪循環についてのカウンセラーの見立てを様々な観点から検討し、その見立てに基づく対処方法を選択し、それに必要な技術、スキルを身につけていくために、カウンセラーから知識やスキルを積極的に学んで自ら使いこなせるようになっていきましょう。
- 心や身体にどんなことが起こっているのか?
- 問題や症状はどんな仕組みで、どんな悪循環によって維持されたり、悪化しているのか?
- 何を改善することができるのか?
- 改善の期待が持てる方法はどんなものが考えられるか?
- 効果としてどのような事が期待できるか?
- 実験計画の話し合いと結果の検討
このような過程は、相談者へ単なる情報提供ではなく、相談者が自分の問題を客観的に理解するということにつながります。
また、自分の問題を明確に理解し、(問題の外在化)、解決への道筋を具体的にイメージすることで、自分の問題に主体的に取り組めるようになっていくのです。
そして、何よりもカウンセラーと相談者の間に問題解決に向けたパートナーとしての信頼感、安心感、期待感を育むことになるのです。