ホットスポットを明確にしよう
人は記憶やイメージの一部分に「はまり込んで」しまうことがあります。そして強い感情(悲しみ、不安、恐怖など)が湧き上がったり、反対に感情が抑制され感じにくくなってしまうことがあります。(解離的反応)こうした状態を心理学では「ホットスポット」と呼びます。
過去の記憶やイメージを思い出しながら言葉にしたり、文章として書き出していく中で感情が大きく変化する場所がどこなのかを注意して観察しましょう。感情に大きな変化を与えた特定の記憶やイメージを繰り返し言葉にして語ったり、イメージしてみましょう。
そうすることでホットスポットを特定し、感情スキーマ(感情を構成する要素)を明確にすることにつながるでしょう。人の感情を揺さぶるホットスポットに関わる記憶やイメージ、思考を自覚できないケースは思っているより多いものです。ホットスポットを明確にして自覚していくことは、自分の感情や思考を、より生きやすいものにしていくためにとても役立ちます。ホットスポットを明確にし、自覚していくことで、今、自分が何をどうすれば良いのかを見つける大きな糸口となるからです。
練習方法
- 「ホットスポットを明確にしよう」を使って、現在自分の思考や行動に強い影響を与えていると考えられる記憶をストーリーを含めて、できるだけ詳細に書き出しましょう。
- 書き出した記憶についてのストーリーを何回か声に出して読んでみましょう。
- ストーリーの中で、どこで強く動揺するか(距離を置くか)を特定しましょう(ホットスポットを特定する)
1人で行う場合はビデオ撮影をして、後から映像を見てみると自分の認識と異なった反応をしているはずですから、ビデオ撮影をしながら書き出したものを読んだりするとホットスポットを特定しやすいでしょう。 - ホットスポットについて検討し、それに伴う感情や思考を明確にして書き出しましょう。
以下の事について考えてみましょう
- その話(イメージ)を思い出して語る際に、特に辛く感じてしまう場所はどこでしょう?
- 感情が大きく動く、感情や感覚を感じにくくなってしまう特定の場所を語る際に生じる気分や感情、思考の変化を意識して観察してみてください。
- その出来事について語ったり、読んだりしている時に、それまでよりも感情が強くなっていることに気づくかもしれません。
- ある場所をイメージしたり、言葉にしている時に、自分の感情や感覚に「一定の距離をおいてしまう」自分に気づくかもしれません。
それはその記憶を言葉にしたり、イメージすることが、辛すぎて、その記憶に注目することが怖くなって、注目できなくなってしまうからです。 - 感情や感覚の変化に気づいたら、もう一度自分に尋ねてみましょう。
その記憶のどんなところに、動揺してしまうのでしょう? - その記憶を思い起こしたとき、どんな考えや感情が浮かんできますか?
感情の変化が強すぎて、この作業をしたくないと感じる人もいるでしょう。そのような場合はリラクセーションを行って落ち着いてからもう一度取り組んだ方が良いでしょう。この技法を行う前に、呼吸法や筋弛緩法などのリラクセーションスキルを集中的に練習し、冷静さを取り戻す自信がついてから行うのも良いでしょう。
解離は自分で気づくことが難しい人も多いので、カウンセラーなどの他者と一緒に行うか、ビデオ撮影や音声の録画を行い後からチェックしてみるという方法が有効です。
解離の例
- 機械的に(感情の起伏が全くなく)ストーリーを淡々と読む
- 特定の場所だけ急いで読み進める
- 他人事のように語るなどストーリーに距離をおく
- ボーっとしながら読む