叱られる人の心に目を向けて
人は嫌いな人の言葉は受け取りません。
どれだけ正論であっても、どれだけ正しくても、よほど成熟した人でなければ嫌いな人の言葉を受け取ることはほとんどありません。
力関係が存在して「その場だけ」言うことを聞いたとしても、その出来事はその人にとって「嫌な思い出」として残ってしまうので、その後の関係はより悪化してしまいます。
ですから人を育てるためには対象者と良好な関係を築いていく必要があります。
普段から対象者をよく観察して良いところをしっかり見つけておいてあげましょう。
対象者のことを知らずに、結果だけを見てできないことを叱っていては良好な関係は築けないからです。
今の自分の目から見て「まだまだ」だと感じていても、「失敗ばかり」していても・・良いところが1つもない人はいないのです。
仕事(競技など)以外の部分にも目を向けて、普段からその人の良いところ、素晴らしいところを見つけておきましょう。
また、人はたくさん接する人のことを好きになりやすいものです。
普段から出来るだけ声かけをしたりして接触回数を増やしておきましょう。
上手に叱るためには「普段の関係」が大切だということです。
さて、ここからが本題です。どんな人でも「自分を否定」されたら嫌な気分になってしまうものです。
自分を否定されて嫌な気分をになったままでは、せっかくのアドバイスも相手の中に入っていきません。
相手に「感謝」の気持ちをを伝えましょう。
「そうは言っても感謝することなんかない」「駄目なところだらけだ」と思うかもしれません。しかし、提出してきた書類の中身はうまくできていなくても、期日を守って提出しているかもしれません。その人なりに精一杯頑張っているかもしれません。
そうした「些細な」ことで良いのです。まずは相手の心が開いた状態になるように、感謝できることに感謝の言葉を伝えてみましょう。
それから「修正」について伝えましょう。
「○○と△△の部分は惜しいね。◎◎にすればいいんじゃないかな?」この時、修正点についてはポイントを2、3個までに絞りましょう。
言いたいことがたくさんあるかもしれません。
しかし、人が一度に意識できることは限られています。
優秀な人でも5ポイントも一度に意識できれば良い方です。
余裕をもってポイントを絞り込んで伝えてあげましょう。
そして、最後に「期待」を伝えましょう。
「もう一息だよ」「期待してるよ」「頑張るんだよ」・・感謝と期待は人を育てる上で欠かせない肥料です。
十分に、そして度が過ぎない程度に感謝と期待を伝えましょう。
反対にやってはいけないことについてもお伝えします。
最もやってはいけないことは、頭から「否定」することです。
「なんだコリャ!」「あ〜あ全然駄目だ」といった具合です。
相手を否定した後、「○○というのはだな」「〇〇の基本は△△だ」のように「正論」を伝えていませんか?
この時、相手の心はすでに反感に満ちて、正論を受け取れる状態ではなくなっています。
もしなんとか頑張って受け取ってくれたとしても、伝えたことの何分の1、何十分の1しか受け取れないことでしょう。
このように相手が動揺し、プレッシャーを感じている時に「締め切りは週末だからな」「絶対にまにあわせろよ」と強い命令口調でさらなるプレッシャーを与えていないでしょうか?
こうなると、相手は動揺は最高潮になって、できることさえできなくなってしまいます。
同じことを伝えるにしても、ちょっとした言い回しや気遣いで相手の実力を引き出すか、押しつぶすことになるかが分かれてしまいます。
もし、自分の周りが「無能な人間」ばかりに感じていても、あなたがちょっとした気遣いをし、言い回しを変えることで「優秀な人材」が急増するかもしれません。
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