アセスメント
相談者の問題を効果的に緩和し、解決に導くためのサポートをするためには、相談者がどんな問題を抱えているかを正確に理解して、相談者とその理解を共有していることが必要です。
症状や問題の一部にとらわれてしまうと、向き合わなければならない重大な問題が他にあることを見逃してしまうことになるかもしれないからです。
問題を正確に理解し、相談者とそれを共有するために、問題の維持・増悪している悪循環を書き出し整理する手続きをアセスメントと呼んでいます。
このアセスメントが適切に行われていることがカウンセリングの効果を大きく左右するため、初期の段階からアセスメントを慎重かつ丁寧に行い、カウンセリングの度に確認しながら、より正確で具体的にしていくことが大切です。
情報収集の方法
カウンセリングでは相談者の「話を聞く」ことがとても重要ですが、相談者がカウンセラーに伝えるのは相談者自身が「気づいていること」「気になっていること」「話したいと思っていること」だけです。
ですから、問題をより正確に把握するために、「相談者から話を聞く」以外の方法での情報収集が必要になることがあります。
- 面接法
相談者の話しから情報を収集する方法です。一般的なカウンセリングの面接法では、主な訴えの把握、問題歴、育成歴、家族歴、生活状況、受診歴など関連する問題の聴き取ることや相談者とカウンセラーとの良好な関係をつくるが目的です。
同じ面接法でも特定の問題の把握や診断を目的として、質問項目や質問順序、質問方法などが構造化されていて、それらにしたがって面接をすすめて、一定の情報を得る事ができる面接法として構造化面接という面接法もあります。(SCID、M.I.NI.など) - 心理測定法
心理検査やチェックリストなどがこれにあたります。
知能測定、パーソナリティー測定、症状の測定など、様々な測定尺度が開発されています。
特に認知行動療法では、相談者の予測や判断、価値観、信念といった思考の癖を測定可能な数値としてとらえ、様々な精神関連障害に認められる認知・行動的症状を測定する尺度が多く開発されています。 - セルフモニタリング
相談者の生活情報を収集するために、相談者の問題や生活状況にあわせてフォーマットを作成して、そのフォーマットにしたがって、相談者が自己観察した結果を記入する方法です。 - 行動観察
行動の生じる場面、頻度、持続時間など生活の中でのターゲットにしている行動について直接観察する方法です。
自己報告が困難な相談者にも使うことができます。
また、ターゲットにしている行動の観察だけでなく、環境との相互作用に関わる情報も収集できます。