イメージをつかう暴露
不安階層表が完成したら、実際に暴露法に取り組みます。
今回は暴露法の中でも主流である系統的脱感作法を行います。
まず最初に、
- イメージを使う系統的脱感作法
- 現実場面で行う系統的脱感作法
のどちらを行うのか決めましょう。
現実場面で系統的脱感作法を行う場合、様々な障害がある場合がほとんどなので、実際に現実場面で系統的脱感作法を行うことは難しいものです。
ですから、イメージによる脱感作法を行う場合が多いようです。
イメージをする能力には個人 差があるので状況を事前に書き出して、イメージするためのコツをしっかり練習して、臨場感、現実感をできるだけ高めること大切です。
イメージによる脱感作法の手順
イメージ導入のルールを作りましょう。
- 場面での臨場感や恐怖、不安が十分に強くなったら「指を立てる」
- 対象者が指を立てたらイメージを消して、リラクセーションに入る
- 不安な気持ち、緊張した感じが十分に低下したことを確認したら、また合図を送ってもらう など
不安や恐怖を感じる場面のイメージとリラクセーションのセットを1場面2~3回繰り返します。
1回の取り組みで2~3つの場面について繰り返しましょう。
イメージの臨場感、現実感を高めるポイント
イメージをすることが苦手な場合は、カウンセラーなどに誘導、補助してもらいましょう。
- 視覚情報の誘導
- 聴覚情報の誘導
- 身体感覚の誘導
- アソシエーション(その場にいて自分の目で見ている映像、臨場感を得たいときに使用)
- ディソシエーション(遠くから見ている映像、感情から距離をとりたいとき使用)
のチェック
イメージによる暴露は、マンネリ化しやすいので、同じ場面を何回も繰り返すと効果が出にくくなってしまいます。(1場面辺り2~3回程度にしておきましょう)
また、自分に合ったイメージ導入方法を工夫する必要があります。
- 自分のペースでイメージすることを望むタイプ
誘導がないとうまくイメージできないタイプ
など個人差があります。
イメージ力の個人差があることを十分に考慮しましょう。
- 音や音楽
- 手触り
- 文章
- 姿勢
- 動作
- 場所
- 匂い など
を1つずつ丁寧にイメージしていきましょう。
また、恐怖や不安を体験した状況と似た刺激や動作、姿勢をしてみるとイメージの臨場感や現実感が高まります。
現実場面での系統的脱感作法ができる場合は、現実場面でも取り組んでください。
ただし、現実場面の系統的脱感作法の時は、リラクセーション状態をつくるのがとても難しいので、落ち着きにくい、集中しにくい場面でリラクセーションするための訓練を十分に行って、リラクセーションスキルを高めてから取り組みましょう。
現実場面での系統的脱感作法に取り組んでもうまくいかない場合は、無理をせずイメージによる脱感作法に切り替えましょう。
イメージスキルを高める練習して、恐怖や不安の程度を調整することができれば、現実場面での脱感作法に近い効果を得る事が可能です。
また、対人恐怖やコミュニケーションへの恐怖や不安の場合、ロールプレイ(可能なら協力者を招いてリアルな状況を作り出し)やミラートレーニング(鏡を見ながらの会話練習)やイメージ改善トレーニング(イメージの中で会話やその時の振る舞いを見直しながら上手にできるまで繰り返す)を行ってみましょう。
脱感作はSUD(感情強度の自己評価)の低い場面からはじめて、徐々に高い場面へ進めていくことが標準的な方法です。
SUDの低い恐怖や不安が低下すると、SUDが高かった項目の不安や恐怖も低下しているからです。
ただし、イメージによってうまく感情を引き出せない場合は、ある程度の恐怖や不安を呼び起こす状況(不安階層表の3~5)から開始する事で、鮮明で臨場感のあるイメージを行うことができる場合もあります。
一方、現実脱感作は、イメージによる脱脱感作より強烈な不安を感じやすいので、階層表の中の低い項目から徐々に行うのが原則です。