毎朝、胃が痛い。上司が原因で心と体を壊したあの日々
毎朝、スマートフォンのアラームが鳴るたびに、心臓がゆっくりと冷えていくのを感じていました。
また、朝が来てしまった。
あの灰色のビルに行かなければならない。そう思うだけで、体の隅々から力が抜けていくようでした。当時の僕は、特定の上司との関係に悩み、心も体も、もうほとんど自分のものじゃないみたいに軋んでいました。
満員電車の窓に映る自分の顔には、表情というものがありませんでした。休日も、時計の針が進む音が、次の月曜日の足音に聞こえて、心から休むことができない。そんな、光の差さないトンネルをただ歩き続けるような毎日でした。
原因は、はっきりしていました。彼の何気ない言葉ひとつで僕の心はかき乱され、理不尽だとわかっている要求にも、ただ頷くしかありませんでした。夜は、天井の模様を目で追いながら朝を迎え、大好きだった料理の味も、いつからかよくわからなくなっていました。
「仕事だから」「我慢しなくちゃ」
そう言い聞かせるたびに、胸の奥で何かがぷつりと切れていく音がしました。

このままでは、僕の人生は終わる。本気でそう思った夜
ある週末、友人と食事に行ったときのことです。みんなが楽しそうに笑っているのに、僕の口角はうまく上がりませんでした。心の表面に、一枚、薄くて硬い膜が張ってしまったみたいに。仕事のストレスは、僕から人間らしい感情さえも静かに奪い始めていたのです。
そんな自分が、僕はたまらなく嫌でした。SNSを開けば、活躍する友人たちの姿が目に飛び込んでくる。以前は素直に「すごいな」と思えたはずなのに、いつしか「それに比べて、僕は」と、黒くて冷たい感情が胸に広がるだけ。
人生の主役が、自分ではない。誰かの物語を、観客席からぼんやりと眺めているような感覚。その無力感に、本気で「僕の人生、このまま何も起こらずに終わっていくのかもしれない」という静かな恐怖を感じたのです。
そんな時、思い切って予約をしたカウンセリングルームでカウンセラーの先生にかけられた言葉が、僕の中にあった固いものを、少しだけ溶かしてくれました。
「それは、あなたの心が弱いからじゃないんです。脳の仕組みが、そうさせていただけなんですよ」

【割込】心理カウンセラーからのアドバイス『脳の書き換え方』
ここで少し、脳科学に関する話をさせてください。
人間の脳は、あなたが思っている以上に正直で、そしてシンプルです。鍵となるのは「脳の可塑性」、つまり脳は経験によって変化する、という性質。これは精神論ではなく、科学的な事実です。
脳の中では、無数の神経細胞が電気信号で情報をやり取りしています。そしてそこには「共に発火するニューロンは、共に結合する」という絶対的なルールがあります。
これはどういうことか。
あなたが「上司」のことを考えて「嫌だな」と繰り返し思うと、脳の中では「上司」と「不快感」を繋ぐ神経回路が何度も使われ、その結びつきがどんどん太く、強くなっていきます。まるで、何度も車が通る道が、やがて舗装された高速道路になるように。

これが、あなたが「上司の顔を見るだけで気分が悪くなる」状態の正体です。あなたの性格ではなく、脳の中で特定の回路が強化されすぎた結果にすぎません。
しかし、希望はここにあります。
使われない道が草木に覆われて消えていくように、使われない神経回路は弱まっていくのです。そして、意識して新しい道を使えば、今度はそちらが新たな高速道路になる。
つまり、脳の配線は、あなた自身の選択で
僕だけの「財産」が、新たな道を開いてくれた
僕はその日から、脳の「新しい道」を作るトレーニングを始めました。
まず、上司に何か言われて「嫌だな」と感じたら、すぐに「と、僕の脳が今、感じている」と一歩引いて、空から自分を眺めるような練習をしました。
そして、今まで使っていなかった「幸せを感じる回路」を積極的に鍛え始めました。通勤途中に見つけた花の形を心に焼き付けたり、お昼に食べるお弁当の味を、ゆっくりと感じてみたり。寝る前に、今日あった良かったことを三つだけ、心の中で数えたり。
そんな小さな習慣を続けて数ヶ月。僕に、驚くべき変化が訪れました。
僕の人生を変えた転換点
最大の試練
臓器移植の経験
独自の知識
健康と栄養の学び
かけがえのない財産
子どもたちへの栄養指導
心に生まれた小さな余裕が、僕に自分の人生を振り返る時間を与えてくれました。実は僕は、過去に臓器移植を経験しています。その過酷な経験を通して、誰よりも真剣に「健康」と「栄養」について学び、自分の体と向き合ってきました。それは僕にとって、時に辛い記憶を伴う、誰にも話せない秘密のようなものでした。
しかし、心が元気になった今、その知識と経験が、誰かの役に立つのではないかと思えたのです。
僕は、自身の経験を活かし、「子どもたちの健全な育成を促進する栄養指導」を副業として始めました。自分の命と向き合いながら学んだ知識だからこそ、その言葉には、ただの情報ではない何かが宿りました。悩めるお母さんたちから「ケンさんの言葉だから、心に響きます」と言ってもらえるように。
そして副業を始めて一年後、栄養指導の収入が、会社の給料を超えました。
僕にとって最大の試練だったはずの経験が、誰かを助けるための、かけがえのない「財産」に変わった瞬間でした。

さあ、今度はあなたの番。脳を味方につけて、最高の人生を始めよう
かつての僕のように、今、出口のないトンネルの中にいるように感じているあなたに伝えたい。
その苦しみは、あなたのせいではありません。そして、あなたには、その状況を変える力が、すでに備わっています。
忘れないでください。あなたがこれまで経験してきた辛いこと、人には言えないコンプレックス。それこそが、未来のあなたを誰よりも強く、優しく輝かせる、最高の「財産」になるかもしれません。
特別な才能も、強い意志も、今は必要ありません。
温かいお茶が美味しかった。空が綺麗だった。どんなに小さなことでも構いません。
それが、あなたの脳を、そしてあなたの人生を、素晴らしい方向へと作り変えていく、記念すべき最初の、そして最もパワフルな一歩になるのですから。
