話すと考えるの回路を連結しよう

聞くと理解する、観察するが自動化されたらコミュニケーションの次の要素「考える」「話す」の練習に取り掛かりましょう。そのためには話すときに使う脳の回路と理解するときに使う脳の回路、考えるときに使う脳の回路は別々だということを理解する必要があります。

言語中枢はブローカ中枢とウェルニッケ中枢に分かれていて人の話を理解する時にはウェルニッケ中枢、自分の言葉を話すときはブローカー中枢というところが使われます。考える時は前頭連合野全体を使います。

脳と言語・思考・理解

話すことが苦手な方は、それまでの生活の中で自己内対話(自分で考えること)はたくさんしてきたので前頭連合野を使いこなす力は長けているのですが、考えたことを言葉にしてこなかったのでブローカー中枢を使いこなすことができていないと考えられます。頭の中でたくさん考えているのに考えているのに、考えた言葉が音として発することができないのはウェルニッケ中枢→弓状束→ブローカー中枢、前頭連合野→ブローカー中枢の連携がうまくできていないのです。

人は使ったところは強くなっていきますが使わないところは発達せず弱化していきます。小さい頃から考えたことを言葉にしてこなかった人は話す回路が弱くうまく使いこなせないのも当たり前なのです。もし考えたことを言葉にしたいのなら、考えた言葉を言葉にする練習をたくさん行ってください。

言葉と思考に関わる脳の分野
  • 言葉を理解するためのウェルニッケ中枢
    言葉は聴神経を経て聴覚中枢へ入り、そこからウェルニッケ中枢に伝達されることで言葉を理解しています。
    他者からの言葉の理解だけでなく、自分の頭の中の考えを言葉として組み立てています。
  • 言葉を発するためのブローカ中枢
    ウェルニッケ中枢が話し言葉の元となる文章の構成をし、弓状束という神経経路を経由してブローカ中枢に伝達された後、実際に音として発音されています。
  • 思考する前頭前野(前頭葉の大部分)
    「思考する」「記憶する」「感情をコントロールする」「判断する」など、自己内対話と関わる重要な役割をはたしています。
  • 機能を繋ぐ弓状束
    弓状束は脳の異なる部位の機能を連携する役割を果たしています。