ワーク32の準備−3
コーピングの分類
コーピングの目的は2つあります。
1つは自分を取り戻すこと(1:フルネスアクション)、2つ目はストレスから自分を守ること(1:プロテクトアクション)です。
また、ストレス状況が起きているその瞬間に行えるコーピング(2−1:瞬間的コーピング)、ストレス状況が終わった後に行えるコーピング(2−2:事後コーピング)、効果を高めるためのコーピング(2−3:日常的コーピング)の3種類があります。
1:フルネスアクション(自分を取り戻すためのコーピング)
人間の脳は大きく分けると3層構造になっています。
人間脳、動物脳、爬虫類脳の3つです。
人間脳は進化の過程で1番遅く発達した脳です。
ですからストレスにさらされた時の瞬間的な優先度は1番低くなっています。
そのため強いストレスにさらされると人間脳(論理的思考)の働きが抑制され、動物脳、爬虫類脳の働きが活発なって動物が生き残るための反応(息をひそめる、逃げる、戦う)がすぐできるように準備を整えます。
人間以外の社会では、こうした反応が自分の命を救うことに役立つのですが、人間の社会では多くの場合、この反応が起こることで論理的な行動をとることができなくなってしまい問題を引き起こしてしまうのです。
冷静な時なら消火器のピンを抜いてレバーを握り消化剤をまくことができても、いざ目の前で火が燃え始めるとパニックになって消火器のピンを抜いてレバーを握り消化剤をまくという単純な作業ができなくなってしまうのもこのためです。
ですから、強いストレスにさらされた場合、プロテクトアクション(ストレスから自分を守ること)の前に人間脳を取り戻すためのコーピング(フルネスアクション)をして、論理的な思考(人間脳)を取り戻す必要がある場合も多いのです。
様々なプロテクトアクションを考えて実行しようとしても上手くいかない人は、フルネスアクションのスキルが低いと考えられます。
フルネスアクションの例
- ゆっくりと息を吐く
- 自分を落ち着かせる言葉を頭の中で繰り返す
- 拳を握ったり緩めたりする
- 理由を作りその場を一旦立ち去る
- 頭の中で(声を出さずに)叫ぶ
- 頭の中で(声を出さずに)歌う
複雑な計算を頭の中でしてみる 例えば、100を作る計算1+99、2+98・・・) etc
目的は動物脳の反射に飲み込まれないで、論理的な判断力を取り戻すことです。
動物脳の反射に任せて感情(動物脳は感情に強い影響を与えます)に飲み込まれてしまっては、有効なコーピングを取れなくなってしまいます。
強いストレスにさらされた時、すぐに行えるフルネスアクションを見つけて、その場でフルネスアクションを行えるようにトレーニングしていきましょう。
ポイント
- ストレスを受ける状況には個人差があります
その場ですぐに行える自分なりのフルネスアクションを見つけておきましょう。 - 最初は上手くいかないかもしれません
見つけたフルネスアクションをテストをしながら繰り返し練習することで、時折人間脳を取り戻すことができるという体験をするようになります。
その体験が自信を作り、その自信がフルネスアクションの効果を高めてくれます。
繰り返しテストと練習をしながら成功体験を積み重ねてください。 - 組み合わせてみましょう
1つのフルネスアクションで上手くいかない場合はいくつか組み合わせてみましょう。
ゆっくりと息を吐いた後、自分を落ち着かせる言葉を頭の中で繰り返すなど - 普段から練習しましょう
「息を吐いて落ち着いた感覚を呼び起こす」などのスキルも、普段から息を吐いて落ち着いた感覚を得る練習をすることで向上します。
自分で見つけたフルネスアクションを強化するための練習を継続しましょう。 - 外在化しましょう
見つけたフルネスアクションをノート、パソコン、スマートフォン、手帳などに書き出して外在化しておきましょう。特
に人間脳の働きが抑制されている間はフルネスアクションについて思い出すこともできなくなってしまいます。
すぐに確認できるように外在化し、外在化したフルネスアクションが目に入る工夫をしておきましょう。
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