家族全体で取り組むために良好なコミュニケーション
IP(問題行動を起こす人)の問題行動が継続するのは、IP一人に問題があるわけではなく、家族というシステムの中にその問題行動を引き起こす原因があると考えるのが行動的家族療法の基本的考え方です。
ですから、家族全員が自分の考えや気持ちを適切に表現することができ、質の高いコミュニケーションを取れることが、IPを含めた家族全体のストレスを弱めることにつながり、IPの心身の状態を向上させ問題行動が起こるのを防ぐことにつながります。
コミュニケーションで心がける4つのポイント
- うれしい気持ち、喜びを表現すること
- 建設的な依頼をすること
- 不快な気持ち、嫌な気持ちを表明すること
- じっくりと話を聞くこと(傾聴する)
この4つのポイントが欠けたコミュニケーションが続くと、長期的な立場から考えた時、家族間に強いストレスをもたらすことになってしまいます。
この4つのポイントを実践するためのコミュニケーションスキル訓練を家族全員が受けると良いでしょう。
行動的家族療法でのスキル訓練は、
- 現在のスキルのアセスメント(分析)
- スキルに関する説明
(参考にする)モデルの提示 - 行動リハーサル
- ポジティブフィードバック
欠点を指摘するのではなく、良い面、できているポイントを見つけ指摘し合います。 - 現実場面での練習
などの項目に分けて構成されます。
特に家族がお互いにポジティブフィードバックが行えるようになることはとても重要です。
また、家族が示す感情表出(Expressed Emotion:EE)の癖を理解し、改善することも重要です。
EEには感情を表出する時の言葉だけでなく、表情や態度など言葉以外の要素も含まれます。
これらは生まれてからそれまでの感情表出方が癖となって定着しているためなかなか自覚しにくいのですが、現在の感情表出法について理解し、よりポジティブなコミュニケーションをとるために意識して改善していくことがコミュニケーションの質を向上させるためにはとても重要なのです。
IPも家族も自覚していなくても、「批判」「敵意」などネガティブな感情を行って、そのことが家族間の大きなストレスを作り出していることも珍しくないのです。
さらには、家族全員で問題解決法を学び、良好なミュニケーションを通して問題を解決するスキルを身につけてもらいます。
問題解決法
- 問題を明確化できること
- ブレインストーミングで解決策を見つけられること
家族全員で批判なく意見を出し合い、後から一定の基準で解決策を選び出す方法 - 考え出した解決策の分析と選定が行えること
費用対効果や実行可能性について評価を行い、その評価に基づいて実行する解決策の選定ができる - 解決策の実行と効果の評価
選定した解決策を実行し、その解決策の効果や改善点を評価し、その解決策をより実践的で効果の高いものへと改善していくという手続きを繰り返していきます。