メンタルトレーニングと認知療法2
どうしてもネガティブな考えに支配されて自分は変われないと感じる場合、スキーマに関わる考えはすぐに変わらないということを知っていることが役に立ちます。
スキーマが確立されると
スキーマは生まれてから現在までの経験の中で構築され、一度出来上がるとスキーマに反する情報は脳でシャットアウトされ意識にのぼらなくなって、スキーマに見合った情報ばかりが認識されるようになるので、そのスキーマは日に日に強化されていきます。サングラスをかけるとサングラスの色で世界が見えるように・・スキーマ色の世界が見えるのです。
現在のスキーマが生きていくために役立っているのであれば良いのですが、時として、そのスキーマがあることで「積極的になれない」「人を信じられない」「自分を信じられない」などネガティブな状況に陥ってしまうことがあります。こうした状況から抜け出したい場合、「スキーマを修正」する必要があります。
ここで大切なことはスキーマがあると、そのスキーマに反する情報が意識に入ってこないので、意識的にスキーマに反する情報を集め続ける必要があるということです。
どうやって集めたらいいの?
しかしスキーマに反する情報を意識的に集めても中々意識の中に取り込むことはできません。なぜならスキーマが活性化している時は、いくら情報を集めてもやはり意識の中に入ってこないようにシャットアウトされてしまうからです。それではどうすれば良いのでしょうか?
「スキーマの揺らぎ」と言われると難しいと感じるかもしれませんが簡単に言えば「気分の変化」です。朝は怒られて「自分はダメな人間だ」と思っていても、仕事が上手くいって「チョットはイケているかも」と思ったり・・・といった具合に1日の内でも気分は変わるものです。「自分はダメだ」と思っている時にいくら褒められてもその褒め言葉を受け取ることはできないものですが、仕事が上手くいって気分が良い時に褒められれば「チョットはイケてるかも」と思えるものです。これを意識的に行うのです。
方法は様々ですがスキーマに揺らぎを生み出す活動をして、その揺らぎによってスキーマに反する事実を受け入れる準備ができている時に、自分のまわりでスキーマに反する情報を自らの意志で探してみるのです。
「人は裏切るものだ」というスキーマを持っているのであれば長い間友人関係を築いている人を探してみたり、協力し合うことで様々な事を成し遂げている人を探したりという行動を自分の意思でとってみるのです。
この時大切なことは、そういう行動を「どう感じるか」を重要視しないことです。
スキーマは「そんなことをするのは馬鹿らしい」「そんなことしても意味がない」・・様々な感情や思考を送りつけてきて、新しいスキーマを獲得しようとする、あなたの行動を阻止しようとします。
これまでの人生で獲得してきた常識やルールと反する言動を取ることは大きなストレスなのです。そうした行動を取る前に「自分の今のネガティブな状況が、そのスキーマの影響によるものだ」とシッカリと確認してください。そして、そのスキーマを自分が生きやすいスキーマへと変貌させると決意してください。何よりも、その決意が大切です。
1度や2度チャレンジでスキーマは修正されません。繰り返し繰り返し行うことが必要です。繰り返していくうちに「スキーマの揺らぎの幅や頻度が高くなる」「スキーマに反する事実が多く見つかり始める」ようになってスキーマの修正が行われていきます。スキーマへの影響が出るまで(チョットした変化が出るまで3ヶ月)継続していきましょう。
また、スキーマが修正されることでベーシックプレジャーも影響を受け心地よいと感じる行動や思考、環境も変化してきます。ベーシックプレジャーがパフォーマンスの向上へ結びついていない場合は、スキーマについても再検討してみると良いでしょう。