話す回路と考える回路

聞くと理解する、観察するが自動化されたらコミュニケーションの次の要素「考える」「話す」の練習に取り掛かりましょう。

まず知っておいて欲しいことは話すときに使う脳の回路と理解するときに使う脳の回路、考えるときに使う脳の回路は別々だということです。

言語中枢はブローカ中枢とウェルニッケ中枢に分かれていて人の話を理解する時にはウェルニッケ中枢、自分の言葉を話すときはブローカー中枢というところが使われます。また考える時は前頭連合野全体を使います。話すことが苦手な方は、それまでの生活の中で自己内対話(自分で考えること)はたくさんしてきたので、前頭連合野を使いこなす力は長けているのですが考えたことを言葉にしてこなかったのでブローカー中枢を使いこなすことができていないと考えられます。

頭の中でたくさん考えているのに言葉を音として発することができないのは、ウェルニッケ中枢→弓状束→ブローカー中枢、前頭連合野→ブローカー中枢の連携がうまくできていないのです。

人は使ったところは強くなっていきますが、使わないところは発達せず弱化していきます。小さい頃から考えたことを言葉にしてこなかった人は話す回路が弱くうまく使いこなせないのも当たり前なのです。

回路を連結しよう

もし考えたことを言葉にしたいのなら、考えた言葉を言葉にする練習をたくさん行ってください。

考えを言葉にする
  • 歌う(歌詞を見ずに歌うと感情の回路との連携も強化できます)
  • 本を音読する
  • 一人アナウンサー/リポータ

一人アナウンサー/リポータ

アナウンサー

Lesson1

ー
目で見たものをすぐに言葉にする練習です。何かターゲットを決めて1つのものでできるだけ長い時間解説できるように練習していきましょう。テレビのリポーターなどを参考にすると良いでしょう。例えば目の前にあるクッションを題材に「これはクッションです」だけでなく、テレビのリポーターになったつもりで素敵なクッションですねぇー、うすーいブラウン表面がモコモコしていてあったかそうです。(触ってみて)わー柔らかい・・・といった具合で、1場面30秒〜1分は話せるように練習していきましょう。

Lesson2

テレビの音を消してみたものを全て解説していきましょう。テレビのリポーターやアナウンサーのように具体的に分かりやすく見たものを伝えるためにどう話すかを練習してみましょう。

ポイント
  • 最初は録画した場面を見ながらその場面を解説して、その時の声を録音して聞きなおしてみましょう。
  • 録音した声を聞いて良い点や改善点が考えてみましょう。
  • 改善した点を取り入れてもう一度同じ場面を解説して録音し、また良い点や改善点を考えて・・納得いくまでなんども繰り返しましょう。
  • 慣れてきたら録画していない場面をみてドンドン解説していきましょう。
考えたことを言葉にできないのは・・
  • 緊張しているから
  • 自信がないから
  • 気が弱いから etc

自分の性格のせいだけではありません。これまでどんな経験をたくさん積んできたか(強化してきたか)による部分も大きいのです。話せないことを自分の性格や遺伝のせいと決め付けてしまうとこれから先も話せないまま時間が過ぎて行ってしまいます。まずは見たもの、聞いたもの、考えたことを言葉にする練習から始めてみましょう。

参考

  • 言葉を理解するためのウェルニッケ中枢
    言葉は聴神経を経て聴覚中枢へ入り、そこからウェルニッケ中枢に伝達されることで言葉を理解しています。他者からの言葉の理解だけでなく、自分の頭の中の考えを言葉として組み立てています。
  • 言葉を発するためのブローカ中枢
    ウェルニッケ中枢が話し言葉の元となる文章の構成をし、弓状束という神経経路を経由してブローカ中枢に伝達された後、実際に音として発音されています。