行動に焦点を当てる

認知行動療法

認知行動療法では、認知に焦点を当てる場合と行動に焦点を当てる場合があります。行動に焦点を当てた場合、問題を「きっかけ」「望ましくない行動」「結果」という流れによって生まれる悪循環と考えて、その悪循環を解消、軽減することが問題の解決だと考えます。
心の状態が原因で生まれる問題を行動(習慣、反応パターン)と考えて、観察、計測できる行動の量という側面に焦点を当て、行動の「頻度」「強さ」「速さ」「持続時間」などを変化させることでの問題の解決、改善を目指していきます。

行動に焦点を当てる

行動に焦点を当てる理由

心の問題といわれるもののほとんどが、特定の状況で特定の行動が起こる頻度が適切でない(多すぎる、少なすぎる)ことで、本人や周囲の人が苦しんだり、望まない状況へと陥ってしまうことです。

感情的な問題(不安、落ち込み、イライラなど)や世の中や自分に対する捉え方の問題も、具体的に捉えなおしてみることで、「特定の場面で望ましい、適切な言動がとれないこと」「望まない言動、不適切な言動をとってしまうこと」といった行動から生まれるものが多いのです。

そこで、性格や人間性、考え方といった計測しにくいものをターゲットにするのではなく、計測可能な行動に焦点を当てることで効果を測定しやすくし、取り組みへのモチベーションを維持し、取り組みを継続しやすくするために行動に焦点をあてていきます。

行動の定義

認知行動療法での行動の定義
  • 認知行動療法では「行動=反応」と考えます。
    反応には、発声、感情的な反応、生理的反応、頭の中での思考や情報処などが含まれます。
  • 認知行動療法では行動は「学習の法則」に従っていると考えます。
    「学習の法則」では、「行動は様々な経験を通して身に付けられていて、それぞれの状況、場面に対する行動のパターン、頻度や強度、持続時間などには一貫した形式が存在している」と考えます。

認知行動療法では行動という単位で反応を具体的に捉えて、学習の法則に基づいて本人の目標に沿った形で周囲の人間も含めた行動を変容し、生活の質の向上を目指していきます。

ですから、認知行動療法で行動に焦点を当てる場合、「観察可能な行動」をターゲットにして取り組んでいくことになります。
できるだけ具体的で観察しやすい行動をターゲットにしていくことになります。