ワーク32の準備−5
3:事後コーピング(出来事の後の状態に対処するためのコーピング)
強度のストレスに直面した時、人間脳を取り戻すためのコーピング(フルネスアクション)を行って人間脳の働きを取り戻し、準備しておいた瞬間的コーピングを行うことができたら、その後のストレス体験の影響からできるだけ早く自分を解放するためのコーピングを行います。
例
場面:帰りがけになって、突然上司から残業を言い渡された。いつもなら断れず、不満を抱えたまま引き受けてしまう。
この繰り返しで家族との約束を守れなかったり、仕事を抱え込みすぎて、仕事の遅延や失敗が増えてしまったり、胃が痛くなったりしている。
STEP1:フルネスアクション
自分を落ち着かせる言葉を頭の中で繰り返す
STEP2:サンドイッチ話法(行動)を試す
私をご指名ですか?頼りにしていただいてありがとうございます。(相手に対して敬意を表す)
ご期待に沿いたいのですが、家族との大切な約束があるのです。
緊急な仕事ですか?もし、私でなくてもできる仕事であれば、○○さんに依頼してはどうでしょうか?お金が必要で、残業を従っていましたよ。
次回、私でお役に立てるようなことがあったら、ぜひ行ってください。精一杯頑張らせていただきます。
STEP3:ストレス体験からの影響を弱める
サンドイッチ話法を取り入れたことで、上司は気分を悪くしなかったように思えたけれど、後からこれまでの考え方の癖がでてきてあれこれ悩んでしまっている。
あの時は嫌な顔しなかったけれど、本心では起こっているんじゃないかな?
やっぱり無理してでも引き受ければよかったなぁ〜
などと考えて不安になってしまう。
環境的アプローチ
大好きなアーティスト○○の曲を聞いて、勇気がでる「△△」というフレーズを何度も口ずさむ
認知的アプローチ
上司の××さんは表裏のない人だから、態度どうりに受け取ればいいんだ。
無理して引き受けて後から××さんに迷惑をかけるよりずっと良い
身体的アプローチ
リラックスできるようにお腹を温めよう
深呼吸して気持ちを落ち着けよう
など、環境的、認知的、身体的、感情的、行動的アプローチからストレス体験の影響から自分を解放するための試みを行う。
ポイント
取り組みを始めて間もないうちは、すぐにこれまで習慣化してきた考え方が出てきて、ネガティブな感情に飲み込まれそうになってしまうでしょう。
しかし、事後コーピングを行うことでその感情を変化させて、そのストレス体験からの影響をできるだけ短い時間で終わらせる取り組みを繰り返しましょう。
これまでたくさん使ってきた感情は強くなっていますので、最初のうちはその気持ちから逃れられないと感じるかもしれません。
実際に事後コーピングを行っても15分もすればネガティブな感情が蘇ってくるでしょう。
そして、「すぐに感情が戻るから、事後コーピングをしても無駄だ」と感じてしまうかもしれません。
しかし、使った感情は強くなり、使わない感情は弱くなっていくのです。
1回の事後コーピングで15分しか気分を切り替えられなかったとしても、その15分間はネガティブな感情を使わずにすんでいるのです。
一見無駄に感じる事後コーピングも繰り返すことによって、使いたくない感情の強度を弱めることに役立っているのです。
ですから、事後コーピングを繰り返すことで、最初は15分しか感情を切り替えられなかったとしても、次第に20分、30分、1時間と長い時間切り替えられるようになっていきますし、感情を切り替えることも簡単になっていきます。
すぐに感情が戻ったとしても、繰り返し、繰り返し事後コーピングを行いましょう。
どんなコーピングをとるにせよ、最初からうまくいくものではないということを覚えておいてください。
うまくいったかいかなかったかで一喜一憂するのではなく、うまくいく確率を上げていくことに意識を向けていきましょう。
何度も繰り返して行うことで、成功率が徐々に上がっていきます。
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