フラッディングについて
認知行動療法でつかう技法は、そのほとんどが
- 徐々に習慣を変える
- 新しい習慣を徐々に獲得していく
ことを目指すものです。
しかし、フラッディング(持続的暴露法、暴露反応妨害法とも言います)では集中的に(不安や恐怖などの)先行刺激に曝す(暴露)ことで、恐怖や不安を無くす、あるいは軽減することを目指します。
フラッディングでは強い先行刺激(不安や恐怖を呼び起こす)に長時間(1時間を越える事もあります)対峙します。
この方法では、できるかぎり強い恐怖を体験する事が必要です。
なぜなら、そのことによって、どれだけ強烈な不安や恐怖を感じても、恐れるようなことは何も起きないということを経験をすることが目的だからです。
フラッディングの特徴は、成功すれば大幅に不安や恐怖が軽減し、それが持続するという事です。
フラッディングが有効な場合
フラッディングは効果的な方法ですが、よく理解して使わないと望まない結果をもたらす事もありますので、フラッディングを使う場合は、フラッディングについてよく理解してから行うようにしましょう。
- 条件反射(レスポンデント条件づけ)によって、特定の刺激や状況が不安や恐怖を呼び起こすように条件付けられます。
- 本来、不安や恐怖を感じなくても良い刺激でも、条件付けが成立してしまえば、その刺激だけで強い不安を感じるようになります。
- その不安や恐怖に対してある行動をすることで、不安が大幅に弱まるということを体験すると、その行動を選択する確率は高まります。(回避行動)
- 不安や恐怖を感じる度に回避行動をとるようになります。
- 回避行動をとる事で、恐れている事態が起こらないという体験をする機会をなくしてしまうので、いつまでも「恐れる必要のない無意味な不安、恐怖」を避けるための回避行動を取り続ける事になってしまいます。
- 回避行動をとり続ける事で日常的な生活に問題が生じるようになってしまいます。
フラッディングの基本的考え方
こうした仕組みを理解できれば、
- 集中的に回避行動に対象になる先行刺激と対峙する
- 先行刺激と対峙している間、回避行動をとらない
- 強烈な不安や恐怖にさらされながら、恐怖や不安が生じるのを妨害する 反応妨害法:リラクセーション、イメージングなど
という作業を通して先行刺激と対峙しても恐れている事態が生じない事を体験することができるので徐々にこれまで回避してきた刺激に対しての不安や恐怖が低下していくことが理解できるでしょう。
この方法は、先行刺激によって不安を感じると、すぐに回避行動をとってしまうことで、不安が維持され、回避行動を繰り返してしまうという悪循環から生まれる問題に対して、とても有効です。
フラッディングは、不安障害(特に強迫性障害、パニック障害)によく用いられますが、その他、特定の恐怖症、嘔吐を繰り返す摂食障害、社会恐怖や身体表現性障害にもその有効性は認められています。