ペインスキーマをシンプルにとらえ直してみよう
ペインスキーマをあまりにも多く抱えている場合、スキーマの数が多すぎて自分が抱えている「生きづらさ」を理解できなくなってしまう人もいます。
そんな人たちのために自分が抱えている「生きづらさ」をもっとシンプルにとらえ直す方法をご紹介します。「今、ここ」の自分をリアルタイムに理解するためにとても役立つはずです。
ステート・アプローチ
ステート・アプローチとは、「今、ここ」の自分を「スキーマ・ステート」という視点から理解するアプローチです。
「ステート」というのは「今、ここ」での反応や状態の事をいいます。
1日のうちでも刻々と時間が流れる中で「今、ここ」での反応や状態(ステート)は変化していきます。
スキーマとステートの関係は図の通りです。
様々な出来事、環境、状況などによって幾つかのペインスキーマが活性化すると、「今、ここ」での反応や状態であるステートは移行します。
つまり、同じ状況にいてもその人のペインスキーマのバランスや強度によって移行するステートが変わってきます。
ステートは活性化したペインスキーマが引き起こした反応や状態のことですから、自動思考や感情、行動、身体的反応などが含まれます。
例えば、ある人が無理な頼みごとをされた(出来事)とします。
その人はそれによって「認められたいスキーマ」と「自己犠牲スキーマ」の2つが活性化したとします。
それを引き受けてしまうと家族との約束が守れなくなってしまうのですが、その頼みごとを引き受けることで「良いひとだ」と思われたくて、「良いよ、良いよ、気にするな。任せておけよ」と積極的に引き受けてしまうかもしれません。(ステート)
また、同じように無理な頼みごとをされても、「被害者スキーマ」が活性化した人は、「断ったら後から悪口を言われるんじゃないか?」と考えて不安になって、嫌々ながら引き受けてしまうかもしれません。
つまり、その人がどのステートに移行するかは、どのようなペインスキーマを持っていて、その中のどのスキーマが活性化されるかによって異なってくるのです。
また、同じペインスキーマを持っていても、そのペインスキーマが活性化された時のコーピング(対処)の違いによっても、移行するステートが異なってきます。
その対処法は3つに分かれます。
- ペインスキーマへの服従
- ペインスキーマの回避
- ペインスキーマへの過剰補償
の3つです。
例えば「愛されない/わかってもらえないスキーマ」を持っている女性が、週末のデートの約束を「仕事のトラブルで行けなくなった」と断られてしまったとしましょう。
この女性が「ペインスキーマへの服従」というコーピングをとった場合、スキーマに服従するわけですから、「やっぱり愛されていないんだわ」という考えが浮かんで落ち込んで何もしたくなくなってしまうかもしれません。
しかし、同じ女性が「ペインスキーマの回避」というコーピングをとった場合、「愛されていない」と考えて落ち込んでしまうことを避けるために、友達を無理やり誘って旅行に行って派手に遊びまくるかもしれません。
また、同じ女性が「ペインスキーマの過剰補償」というコーピングをとった場合、「ペインスキーマとは反対であるかのような態度をとる」ので、「愛されないなら、もういい。あんな人本当は愛してなかったのよ」と考えて、彼の欠点を探し、愛せない理由を探して、距離を取ったり、別れようとしたりするかもしれません。
つまり、どのステートに移行するかは「活性化されたペインスキーマ」と「コーピング」の選択によって決定されるということです。
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