スキーマの埋合せ
ネガティブなスキーマ(判断の基礎基準)を持っていると、そのスキーマから自分を守るために備えようとします。これを「スキーマの埋め合わせ」といいます。
- 「自分は能力がない」というスキーマ
「過剰なまでに必死で働く」「仕事を何度も何度もチェックする」などの方法で、失敗を完璧に避けようとします。そうやって「自分に能力がない」ことを他者に証明されてしまうことや。「自分には能力がない」と自覚せざるを得ない状況を防ごうとします。ネガティブなスキーマが活性化している間は「スキーマの埋め合わせ」によって、「本当に自分はちゃんとやったのか?」「何かやり残している仕事があるのではないか?」といったことが心配で気が休まらなくなってしまいます。 - 「私は愛されない」というスキーマ
愛されないと自覚する場面を避けるために、「自己主張すること避ける」「他者の意見にいつも従う」、「優しい言葉やプレゼントを要求する」、「相手が自分を見捨てたりはしないことを相手に保証させようとする」「いつも恋人を疑って怪しいところはないか?と目を光らせ続ける」事になります。また「相手との関係に執着」して現実を認めないことで「私は愛されない」というスキーマから逃れようとするかも知れません。この場合、相手の気持ちも、自分の相手への愛情も関係なく、ただ「1人になりたくない」「愛されないと認めたくない」という思いから、その人との関係に執着してしまいます。辛くて、苦しくて、終わらせた方が楽なのに関係を続けようとしてしまいます。
スキーマの埋め合わせ行動
思考の背景にあるスキーマを埋合せようとして「埋め合わせ行動」をすることで問題を引き起こす事があります。「埋め合わせ」をすることで本当の自分の気持ちを押し殺し犠牲にすることになったり「埋め合わせ」をすることで現実が認められず向き合えなくなってしまうからです。
例えば、
- 仕事で成功することばかりに執着して、家族関係や人間関係がボロボロになる
- 辛くて苦しい人間関係にしがみつくことで、日常生活を送れなくなる
- 常に相手に安心を保証してもらおうとして要求し続けることで関係の継続が困難になる
などの問題を引き起こしてしまうのです。
そして何より問題なのは、埋め合わせ行動を続けている限り、背景にあるスキーマを見直し、調整する事ができない状態が継続してしまうことです。
例えば
- 特別でなければならない
- 人より優れていなければならない
- 周りと同じでは認められない
などの考えから生まれる埋め合わせ行動により、同じような問題を引き起こし続けることになってしまいます。同じような問題を繰り返し起こしてしまう方は、スキーマの埋め合わせについて専門家に相談していると良いでしょう。