人間関係のフォーカスポイント

人を叱るという行為は「怒りをぶつける」ことではなく、その人を望ましい方向へと導いてあげることです。人を褒める時のポイントと同様、ポイントは2つあります。

2つのポイント
  1. 相手の価値観をよく理解した上で「相手の理想との間にできてしまった差について理解できる」ように叱ることです。
  2. 「相手にこうあって欲しいと思っていることとの間にできてしまった差について理解できる」ように叱るることです。

褒める時のフォーカスポイントでもご説明したように、人は「自分がこうありたい」というイメージを持っているものです。

しかし、いつもそういう自分でいられる訳ではありません。誰でもタイミング・状況など様々な理由で、そのイメージと実際の自分の言動の間に差ができてしまうものです。そんな時に、そのイメージとの間に生まれてしまった差について叱ることは、普段から相手をよく見ていないとできません。

つまり1ができるということは相手を普段からよく見て、よく知っているということです。これができれば相手との信頼関係はより深いものになっていくでしょうし、相手も受け入れやすいものです。例えば相手は「お客様を一番に考えられる自分でありたい」と思っているにもかかわらず、自分の都合を優先してしまった時などに「それはお客様でなく、自分の都合を優先したことになるのではないか?」と指摘します。

また相手を指導する・導くという立場であれば「相手にどうあって欲しいか?」というイメージを明確に持って、それと差がある場合にそれを指摘します。それによって、いつも一貫性のある指摘・叱責をすることができるので、相手にもわかりやすく受け入れやすいものになります。

注意・指導

相手を叱る場合は、特に環境・行動・能力などのフォーカスポイントに結びつけて叱ってあげましょう。

結びつけ方
  • 環境
    スケジュールがタイト過ぎたね。次からはスケジューリングを工夫しよう。
  • 行動
    の発言はまずかっよね。フォローのために明日先方を訪問してみよう。
  • 能力
    応酬話法が身についてないね。繰り返しロールプレイングをしてみよう。

大切なことはダメだったのは環境や行動、能力(スキルなど)で、あなた自身ではないことを伝えることです。そうすることで気持ちを早く切り替えて次に進めるはずです。ここで起こったネガティブな感情を次の行動のエネルギーになるように工夫して叱ってあげることも大切です。

相手の感情別導き方
  • 不安になっている
    できる限りの準備をしよう
  • 傷ついている
    原因を見つけて今後への活かし方を考えよう
  • 怒っている
    相手とのルールや価値観の違いについて考えてみよう
    自分の考えをうまく伝えられる工夫をしよう
  • 行き詰まっている
    やり方を変えてみよう
    別のやり方を考えてみよう