インフルーエンスパワー

自分の周囲の人間、自分が関わる組織の人間の力を最大限に引き出し最高のパフォーマンスを残すためには、自分がフルネスな状態を維持できるだけでなく、自分の周囲や自分が関わる組織の人間をフルネスに導いていく必要があります。

アクティベーションスキルには自分自身をフルネスにするセルフカレッジのスキルだけではなく、周りをフルネスに導くインフルーエンスパワーというスキルも存在するので、ここからはインフルーエンスパワーについて検討していきたいと思います。

「つながりを伝える」というアクティベーションスキル

人は人と「つながり」を確認することで「自分の存在」を感じたいものです。「1人でも構わない」「一人の方が気楽で良い」と反論したい人もいるでしょうが、本来人間は集団で生きる生き物ですから、この欲求は本能的なものです。

「1人でも構わない」「一人の方が気楽で良い」という考えは、様々な経験から個人として導き出した後天的なものなのです。ですから、ほとんどの人は「自分の存在」に興味を持ってもらえなかったり、「自分の価値」を認めてもらえなければアンフルネスになってしまうでしょう。

①こんなふうに言われたら?
  • お前誰だっけ?
  • 誰でも良かったんだ!
  • お前なんかどっかへ行ってしまえ!!
  • なんだいたのか!
  • お前なんかいない方が良かったよ!!

こんな風に言われて気分がよくなる人はいないでしょう。

②こんなふうに言われたら?
  • 君がいないと盛り上がらないよ!!
  • 君じゃなきゃダメなんだ!!
  • どうしても君に来て欲しいんだ!!
  • 待ってたよ!!
  • あなたがいて良かったよ!!

こんな風に言われたら気分が良くなりませんか?

「相手の価値を認める」と相手の価値を伝えるを同時に行うコミュニケーションを「バリューコミュニケーション」(価値伝達)といいます。
バリューコミュニケーションのスキルは周囲をフルネスに導くインフルーエンス・パワーに大きな影響を与えます。

THANKS・感謝

バリューコミュニケーションの質を高めるためには、常に周囲を「思いやる」ことが必要です。毎日忙しく生きていると、「人に何かをしてあげる」時間を作るのは難しいかもしれません。

しかし、いつでも、どこでも、どんな時でも「人を思いやる」心を持つことはできるはずです。「思いやる」だけでは何も変わらないという人もいるかもしれませんが、人の心はちょっとした行動、発言、態度に表れるものです。(ノンバーバル)例えば挨拶の仕方ひとつでも「バリューコミュニケーション」に影響を与えます。

挨拶を通してメッセージを伝えよう
  • あなたが大切です
  • あなたのことをいつも見ているよ
  • あなたと仲良くしたい
  • あなたのことを認めている
  • いつもあなたの味方だよ

挨拶だけでなく日常のささいな接し方、言葉遣い、態度全てが「バリューコミュニケーション」につながります。もちろん積極的に言葉として「伝える」ことも大切です。
ただし言葉として言ったことが相手に伝わるためには「相手に肯定的な興味をもっていること」と「相手のことを良く見ていること」が大切です。相手に興味を持って、よく見て、気づいて、それを伝えることで、「いつも見ていてくれる」「大切に思ってくれている」「認めてくれている」と感じられるからです。さらに「感謝」の気持ちも伝えるように心がけるとよいでしょう。

相手の欠点を探して「修正しよう」というのは自分の気持ちを優先させることです。「何を修正したいか」ではなく、「何に感謝できるか」を探しましょう。「修正箇所を伝える」のは相手が求めている時だけで十分です。相手が求めていない時に「修正箇所」を伝えても、相手に影響を与えることはできません。

そんなことをするより、相手に感謝できる機会を増やし、「ありがとう」「助かったよ」「君がいてくれて良かったよ」という言葉を通して、相手と「バリューコミュニケーション」をする方が、ずっとずっと強いインフルーエンス・パワーが生まれるでしょう。