インフルーエンスパワー

自分の周囲の人間、自分が関わる組織の人間の力を最大限に引き出し最高のパフォーマンスを残すためには、自分がフルネスな状態を維持できるだけでなく、自分の周囲や自分が関わる組織の人間をフルネスに導いていく必要があります。

アクティベーションスキルには自分自身をフルネスにするセルフカレッジのスキルだけではなく、周りをフルネスに導くインフルーエンスパワーというスキルも存在するので、ここからはインフルーエンスパワーについて検討していきたいと思います。

楽しむというアクティベーションスキル

「毎日楽く生きていきたい」と思う人は多いでしょう。しかし「楽しむ」ことをサボったり手を抜いたりすることと近いことだと感じてしまって、楽しもうとする度に罪悪感を感じてしまう人も少なからずいらっしゃるようです。特に日本では古来から「辛抱」や「我慢」といった精神状態に対する信奉習慣があるため、「楽しむこと=手抜き」と考える人も多く、「楽しむ」というスキルが成熟しにくい土壌があるようです。

しかし「楽しむこと」は「心をウキウキ」させ「やる気を向上」させてくれます。「楽しむ」ことで心の状態はフルネスに傾きパフォーマンス・レベルが向上しますから、メンタルトレーニングの立場から考えれば、「楽しむスキル」は率先して取り組むべきアクティベーションスキルだといえます。

「楽しむスキル」という言葉を聞いて違和感を感じる人もいると思いますが、「楽しむ力には大きな個人差」があります。同じことが起きても「楽しめる人」と「楽しめない人」がいます。

例えば部活の朝錬に行くときに、「眠いのに・・」「なんで朝っぱらから・・」とイヤイヤ、仕方なく向かう人もいるでしょう。しかし早朝の風景を楽しみながら朝錬に向かう人もいます。自分が目標に向かっていることをイメージしながら朝錬に向かう人もいます。1週間乗り切ったら爆睡しようと週末を楽しみに朝錬に臨む人もいます。

同じことをしていても頭の中で起きていることは人それぞれ異なっています。さらに言えば使った感覚、感情は強くなっていきますから、楽しむスキルが高い人は、楽しむ(ワクワク、ウキウキ、やる気など)の感情、感覚も強くなるので、より楽しむことが上手になっていきます。

大切な事
  • どうしたら自分が「〇〇を楽しめるだろう」と考え、実践し、工夫・改善する
  • どうしたら周囲が「〇〇を楽しんでくれるだろう」と考え、実践し、工夫・改善する

そうすることで「辛抱」や「我慢」をして強いストレスを感じることなく、「心をウキウキ」「やる気を向上」させて、自分を含めた周囲の人たちのパフォーマンスを向上させていけます。

ただし楽しくないことを無理やり楽しんだり自分が楽しいからといって、それを押し付けてはいけません。そんなことをするとかえって自分や周囲の人がアンフルネスになってしまいます。無理やり楽しむのではなく楽しむための工夫をするということが重要です。

日常生活のなかで、常に「どうやったら楽しくなるか?」を考え、実践し、工夫・改善している人は、自分や周囲を楽しめる状態に導くことが上手になっていきます。そして楽しむスキルが向上することで自分や周囲の人たちの楽しいと感じる感覚もより強くなっていきます。

結果ではなく過程を見る

進路・道のり

「楽しむ」というアクティベーションスキルを強化するために、もう1つ重要な要素があります。それは「結果」より「過程」に着目するということです。

結果は外部的要因です。様々な条件が重なって望んだ結果がでたり、でなかったりします。つまり結果だけに着目してしまうと、外部要因に自分の心の状態を左右されてしまうことになってしまいます。また周囲との関わりにおいても、結果だけに着目してしまうことで、結果がでなかったときに周囲をアンフルネスな状態に導くことになってしまいます。結果を求めるあまり、緊張し、プレッシャーを感じてアンフルネス・ステートに陥ってしまうことで、パフォーマンスの低下を起こして望んだ結果を得にくくなってしまいます。

自分や周囲の取り組みに対して常に過程に目を向け、どうしたら楽しくなるかを考え懸命に取り組むことの楽しさを伝えていくことが大切です。自分や周囲がアンフルネスに傾き、結果が出なくなっていたら、「結果だけに着目していないか?」「結果だけ褒めていないか?」をチェックしてみましょう。