強迫性障害に対するフラッディングの手順

強迫性障害に対してフラッディングを用いる場合の手順について考えてみましょう。

チェック

ステップを確認してください

STEP1

対象者に問題を引き起こし、生活を困難にしている考え方や儀式的行為について再検討してもらいましょう。

  • 何を見たて、何を聞いて、どんな体験したときに、どんな気持ちや感覚になりますか?
  • その気持ちや感覚が強くなると、どんなことをしたくなりますか?
  • その行為をどれだけ続けて、どのようになったらやめることができますか?
  • また、その時その気持ちや感覚はどうなっていますか?

などを明確にして書き出し外在化させましょう。

対象者本人が自分自身の手で納得できるまで行いましょう。
自分一人でできない場合はカウンセラーなどの専門家のサポートを受けましょう。

我慢

衝動を抑制するスキルを身につけましょう!

重要

フラッディングを行う場合、対象者がフラッディングについて十分に理解し、フラッディングに取り組みたいというモチベーションが十分高待っているのかを確認してから行いましょう。
モチベーションが低いまま行うと不安や恐怖に圧倒され、返って不安や恐怖を強めてしまう危険がありますので十分に確認しておく事が大切です。

対象者がフラッディングに取り組む事が自分の問題を解消し、希望を達成する事つながっているのだということを十分に理解し、「ぜひやりたい」という気持ちになってから取り組みましょう。

また、強迫観念や強迫行為との関わり方についても確認しておきましょう。
最終的な目標は強迫行為をやめる事ですが、すぐに止めれる人はほとんどいません。
強迫観念と強迫行為が徐々に弱まっていく事を目標に実践していくのだということをしっかりと確認しておきましょう。

フラッディングに取り組んで対象の強迫行為が1度減少しても、また元に戻ってしまう事があることを確認しておきましょう。
変化するためにはその繰り返しが大切だという事を理解しておきましょう。

「繰り返すこと」「継続すること」の必要性について明確にしてから取り組んでいきましょう。

STEP2

階層表を作成しましょう。

階層表は強迫観念の強さをSUD(主観的感情強度:1〜10)で表し、強迫観念の弱いものから順番に並べたものです。
儀式的行為の回数や程度も書き入れておきましょう。

※強迫観念⇨強迫行為をしなくてはいけないという感覚(どれだけ速やかに、どれだけ強固に[回数なども])

ノート

階層表を入念に作成しましょう。

STEP3

フラッディングを行ってみましょう。

フラッディングでで感情と向き合う時間はしっかりととりましょう。
系統的脱感作法では数十秒から、1、2分ですが、5分を最小単位として20分、30分と時間を延ばしながらSUDの変化を調べていきましょう。
短い時間しか強い刺激と向き合あわないで途中で中止すると、後に強い不安を残し問題を悪化させてしまう事があるので注意が必要です。

最初の5分~15分程度は確実感情と向き合えるように準備と覚悟をしておきましょう。

フラッディングの原理を理解して、「ぜひやりたい」と思っても実際に不安や恐怖と向き合うと、頭の中で強迫行為(不安を軽減させる行為)を行って不安や恐怖を軽減しようとする人も少なくありません。
この場合、フラッディングで不安や恐怖が弱まったように見えても、実際の生活ではこれまでと同じように強迫行為をとってしまうでしょう。

ですから、不安や恐怖と向かい合っている間、どんなことを考え、どんなことをし、不安や恐怖を軽減させたかを確認しながら行っていくことが大切です。

ちょっと休憩・・

ちょっと休憩・・

STEP4

クリアしたレベルへのフラッディングを繰り返し行いましょう。

階層表の中の課題について、「クリアできたからもう大丈夫」と終わりにせず、繰り返しフラッディングを行っていきましょう。

その場合、1人で練習しやすいように、

  • 準備について
  • イメージ法の確認
  • 経過時間の確認法
  • 家族の協力体制

などを明確にしておきましょう。

フラッディングを繰り返し行うことで、

  • 不安や恐怖のぶり返しを避ける
  • セルフコントロールの感覚や自信を身につける

ことができます。

もし思考を点検してみよう!!

「繰り返し」と「継続」が大切!!

フラッディングは、1度クリアしたからそれで良いというのではなく、何度か繰り返す事で、より強固な安全感を深めていく事が重要だということを忘れないでください。
繰り返し訓練が不足することで、以前と同じ状態に戻ってしまうと「フラッディングは役に立たない」と感じてしまってフラッディングに取り組めなくなってしまいます。

「繰り返すこと」の重要性について繰り返し確認するようにしましょう。

また、ある程度の再発に備えて、強迫性障害とその改善についての知識も繰り返し復習しておきましょう。
その他リラクセーションなどのスキルも繰り返し練習し続けましょう。

リラクセーションスキルは強迫行為が激しいときは練習するのが難しいことがありますが、ある程度ゆとりができたら再発防止のために習得しておくと良いでしょう。

恐怖や不安をコントロールするためには、恐怖と不安と先行刺激の強い結びつきを切り離していくことが必要です。

そのためには、

  • 習慣化している回避行動を抑制するスキルを向上させること
  • 恐怖や不安に対処し、対峙するスキルためのスキルを向上させること

ことが大切です。

フラッディングの原理を良く理解し、必要なスキルを向上させる練習を継続していきましょう。