暴露法で用いる技法

暴露法は不安や恐怖を呼び起こす特定の刺激と対峙することを通して、その刺激が呼び起こす不安や恐怖を弱めていく方法です。
ただし、暴露法を行う事で強い不安や恐怖を感じてしまうとトラウマになって状態が悪化したり、取り組む意欲をなくしてしまいます。

ポイント

ポイント

ですから、行き過ぎた不安を引き起こす刺激と向き合っても圧倒されないように様々な技法を用いて暴露法の成功率を向上させていきます。

不安拮抗反応

特定の刺激を受けると不安になる場合、不安という感情と同時に感じる事ができない反応(不安拮抗反応)を起こせば、その刺激と不安という感情反応の関連性(結びつき)は弱くなっていきます

つまり、不安を弱めていくためには、対象者が活用しやすく、できるだけ簡単に実行できる不安拮抗反応を選んで習得していくことが大切だと言う事です。
不安拮抗反応によって、自分の不安への対処能力への自信を高めていくのです。

いきすぎた不安や緊張が問題の原因となっている場合、不安拮抗反応としてリラクセーションを用いるのが一般的です。
系統的脱感作法を効果的に行うためには、対象者(自分)の資質、特性、好み、ニーズをよく理解して、実際の場面で使いやすいものを選択することが重要です。

不安拮抗反応は対象の刺激と対峙しても、回避行動せずにすむ程度に緊張や不安を和らげることができれば良いので、深いリラクセーションを感じられなくても、過興奮を低下させ緊張や不安を緩和できれば十分です。
入浴
ただし、繰り返しリラクセーションの練習を行い、日常で深いリラクセーションを感じられるようになることで、不安拮抗反応としてリラクセーションを用いたときも、効果的に不安や緊張を軽減できるようになっていきますので、調子の良い時も含めて、リラクセーションの練習を習慣にしてください。

また、日常生活の中に、ホッとしたり、安らいだりする時間を増やす事もリラクセーションを感じる感覚回路のトレーニングになりますので、普段の生活を見直して、そうした時間が増えるような工夫をしてみてください。

また、最近では眼球運動を不安拮抗反応(不安の処理を促進する事で解消する)として用いるEMDRが、トラウマの短期的解消に高い効果があることが注目されています。
また、TFTと呼ばれるツボを用いた不安拮抗なども高い効果をあげています。

リラクセーションの種類
 技法  解説
自律訓練法

筋弛緩
呼吸法
バイオフィードバック法
瞑想法
動作法
ボディースキャン

段階的に自己暗示を進めていくことで、心身の緊張を解放し、自己調整力を高める。

身体各部の筋緊張と弛緩の内部感覚を研ぎ澄ませ、生理学的な緊張の自己調整をめざす。
呼吸と自律神経の関係性を用い、吐く息のコントロール力を高め心身の弛緩を得る
生体反応をモニターしつつ調整方法を探る
特定の言葉、イメージ、呼吸、お経、音などに注意を向ける
本人の意図による身体運動である動作の介入
体の様々なパーツに意識を向け、感覚を分散させる