望ましくない行動を減らすテクニック

望ましい行動が増えると望ましくない行動は減少します。
しかし、自傷行為、暴力など危険な行動については、行動を減少させることを優先しなければならない時もあります。(危険な行動を減らすことが優先)

消去

ターゲット行動(減少させたい行動)をしても全く変化が起きなくなると、ターゲット行動が減っていきます。ターゲット行動を起こす度に起きていた(随伴)「快の出現」や「不快の消失」が起きなくなる(頻度が低下)ことでその行動を起こす理由がなくなる(減少)ので、その行動が起きなくなるのです。

相手にされない → かんしゃくを起こす → 注目される

「無視する」ことで「快の出現」が起きなくなるのですが、「無視」には

  1. 人の存在そのものを無視する
  2. 行動を無視する

という2類の方法があります。

いじめで用いられる無視は1になりますが、「人の存在そのものを無視する」のは、攻撃的で人を傷つける危険な行為です。

「その時の行動に全く反応を示さない」のは行動を減らすためのスキルとして重要なテクニックですが、ターゲット行動をとっている時以外は、積極的に、共感的に関わっておくことが大切です。

ターゲット行動が起きると、感情的になって注目したり、特別な配慮をしてしまうものです。(正の強化)
反対に、何かに対する免除や支援をしてしまうことで不快を減少、回避させてしまう事もあります。(負の強化)

こうした「快」や「不快の減少」を与えることで(気づかずに与えていることも)、ターゲット行動を強化してしまっている場合も少なくありません。

ターゲット行動の機能分析を綿密に行って、その行動とセットになっている「快」や「不快の減少」を明確にしておくことが重要です。

気づいた・閃いた女性

行動の結果得る快(不快の回避)を内部感覚として受け取っている場合もあります。(自傷行為を行うと特別な快感が得られるなど)
このような場合、周囲の注目や行動が、さらに正の強化になって、エスカレートしてしまう場合もあるので注意が必要です。
※快(不快の回避)を内的、感覚的な刺激や状態として得ている時は、消去による対処は難しくなります。

その場合、

  • 先行刺激を明確にして、その刺激に対する対処(介入)する
  • 代替行動(別の行動)を習慣化する

ことが有効です。

消去を使ってターゲット行動を減らすにはある程度時間が必要です。行動を変化させるスピードでは「罰」を与える方がずっと速くなります。

しかし、消去は罰と比べて副作用やリスクが小さい方法です。他者に用いる場合の関係の悪化や、自分で用いる場合の気分の落ち込みなどを招きにくいのです。

罰を用いる場合は、慎重に、そして状態を良く観察しながら効果的だと思われる時だけ使用するようにしましょう。