防衛機制とその機能

防衛機制とは「心の安定をはかるための自我による無意識的な防衛」です。防衛機制には、抑圧、昇華、投影、退行など様々なものがありますが自分を守るために無意識のうちに行われます。

自分で理解できないような感情や衝動が起こるのは、防衛機制によって無意識のうちに行っている心の操作の副作用かもしれません。どんなものがあるのかを理解し対策を考えていきましょう。

知性化

欲求・衝動などを直接的に満たしたり解放したりすることを避け、これらを抑圧する代わりに過度な知的活動にとって変えたりコントロールしたりすること。または、抽象化して表現すること

知性化の例
  • 友人との関係に悩む人が現実にその相手との問題に取り組むことを避けて一般的な友情論を展開したりする
  • ガンであることを告げられた人が「治療法もいろいろあるようですが、難しいらしいですね」などと淡々とまるで他人事のように語る。

難しい表現を使ったりすると自分自身でも何かを理解したような気がしたり優れた人間になった気がします。しかし、その元にあるのは他者よりも優れていたい支配したいという願望です。こうした願望は見捨てられることへの不安から起こる無力感の裏返しです。

知性化受け入れがたい不安や恐怖がある場合日常では使わない言葉を使って非現実感を演出することで、その不安や恐怖をあやふやなものとして受け入れない状態を作ります。しかし難しい言葉や表現を使い現実を直視するのを避けていると、自分の感情をありのままに直視することが出来なくなってしまいます。乱発する知的な言葉は本質的な問題をあやふやで不明瞭なものにする煙幕として機能します。

誰かから自分の行動の問題点を指摘されると、それなりのつじつまの合った説明をします。もちろん自分自身もその説明は間違っていないと思い込んでいて自分の行動が正当化されます。しかし、この傾向が強すぎると問題と直接向き合うことを避けることになり、現在の自分や自分を取り巻く状況を見つめることができなくなってしまうので問題が先送りされ、より複雑になってしまいます。

自分自身は「どこにも問題がない」と思い込んでいますので、問題を解決するための思考や行動は起きなくなってしまいます。

悲しみや、怒り、嫉妬、羨望、食い意地、独占欲、軽蔑、復讐心・・人の心の底にはこういった感情が眠っています。こういう感情を見つめ、そうした感情も含めて自分自身を受け入れ自分自身の言葉で語ることで、目の前の問題について正しい対処ができるのです。

この傾向が強すぎる人は・・

問題を解決するための思考や行動は起きなくなって問題が先送りされ、より複雑になってしまいます。

自分の感覚・感情を感じられるようにヨガ、瞑想やボディースキャンなど、今、この瞬間に自分が自分の体が何を感じているのかを感じ取る練習をしたり、自分が話している言葉が、心にしっくりきている感覚があるかに注意を向けながら話すのも良いでしょう。

また視点-逆視点法などを使って自分自身を見つめなおすのも良いでしょう。